広瀬すず×中川大志、吉沢亮×大原櫻子、清原翔×北乃きい 『なつぞら』“ベストカップル”は?
魅力的なキャラクターが数多く登場している『なつぞら』(NHK総合)。主人公・なつ(広瀬すず)が学生から社会人となり、年齢を重ねるにあわせて、周囲のキャラクターたちの恋愛模様も少しずつ描かれてきた。果たして『なつぞら』における“ベストカップル”は誰と誰になるであろうか。
なつ(広瀬すず)×坂場(中川大志)
なつはアニメーターとして確実に成長しているが、恋愛に関しての進展はほとんどなかった。しかし、短篇漫画映画『ヘンゼルとグレーテル』を制作するにあたり、坂場一久(中川大志)と急接近。坂場はアニメーターとしてのなつの才能を認めている。坂場は、世界の表も裏も描けるような、現実を超えた現実を見せられる今までなかったアニメーションを「一緒に作りたいんです」「一生をかけても、あなたと作りたいんです」となつに語った。
仕事への情熱だけでなく、まるでプロポーズにも聞こえるこの言葉。なつの心に響かないわけはないが、雪次郎(山田裕貴)と夕見子(福地桃子)に誰か付き合っている人はいないのかと恋愛について聞かれ、なつは「今は絵でつながっている人がいるだけで十分だから」と曖昧に答えをはぐらかした。
天陽(吉沢亮)の兄の陽平(犬飼貴丈)から帯広で開催されていた天陽の個展の絵を観た坂場が感銘を受けていた話をなつは聞いている。なつにアニメーターを目指すきっかけをくれたのは幼なじみの天陽だが、アニメーターになったなつにとって作品作りを通じて強く影響を与え合う関係にあるのは坂場である。
愛とは新しい価値観とか古い価値観とか、そういった時代をも超えた、普遍のものであると考えているなつ。愛を失う怖さ、愛の尊さを身をもって体験してきたなつにとって、恋愛に慎重になってしまうのは仕方のないことかもしれない。
ただ、なつが上京する際、「俺はなっちゃんが好きだ。それはこれからも変わらない」と天陽が告げた言葉にも嘘はないはず。天陽が結婚したことで昔の関係のままではいられなくなったが、互いに大切な存在であることには変わりはない。
恋愛に慎重すぎるなつとは対照的に、第16週で駆け落ち騒動を起こした夕見子が恋する相手は「同志」であり、恋愛は「志」だと断言していたが、生まれながらの開拓者であるなつが選ぶとしたら、それは自然に同志のような強い絆を感じられる相手といえるのかもしれない。
なつと坂場。恋愛は遅々として進まなくても、アニメーションの未来を担う同志であり、同じ志と熱い情熱を持つ2人であることに変わりはない。
理屈っぽい坂場と感覚派のなつ。1つの作品を作るうえでは補い合える面が多く、世界が大きく広がっていくだろう。ただ、理詰めで譲らない坂場に対して「ごちゃごちゃ言うな」となつが一蹴したらそれまで。なつと坂場は理想のカップルというよりも、2人で新しい何を見つけて、何を作り上げていくのか見守りたい存在といえる。
なつと坂場……理想のカップル度☆☆ 相性☆☆
天陽(吉沢亮)×靖枝(大原櫻子)
なつが育った柴田家でも、天陽の家族も、2人を知る人たちは誰もがなつと天陽がお似合いのカップルであることは認めていた。戦争で孤児になって柴田家にやってきたなつを何かと気にかけ、助け合い、好きな絵を一緒に描いて過ごしてきた大切な思い出もある。
なつは上京しても忙しい仕事の合間に天陽に手紙を送っていたし、結婚式を済ませた照男(清原翔)と砂良(北乃きい)がなつに会いに新宿に寄ったときには、天陽の家で作ったジャガイモを持ってきていた。天陽の存在について砂良は「なっちゃんの恋人です」と亜矢美(山口智子)に紹介もした。なつは「目標の人です」と答えていたが、遠く離れた北海道で、天陽はどんな想いでなつの手紙を読んでいたのか……。
そして、天陽はキャンバスに描いたなつの絵を朱色で塗りつぶし、「結婚して家族を持て」という両親の心配をさりげなく受け流しつつ、結婚を決めた。天陽と結婚相手の靖枝(大原櫻子)とは、青年団で知り合ったという。十勝農業高校でなつや雪次郎と一緒に演劇部だった良子(富田望生)や番長こと門倉(板橋駿谷)が青年団で活動していて、天陽も舞台の背景画を描き、靖枝が手伝っていたことで仲良くなり、結ばれたのだ。
千遥(清原果耶)が北海道の柴田家を訪れなければ、なつは天陽と靖枝が仲睦まじく畑仕事をしている様子を見ることはなかった。靖枝と一緒にいる天陽は穏やかで、ゆったりと寛いでいて、幸せな夫婦そのものといった様子だった。
働き者で、才能ある天陽を尊敬し、家族を大切にする朗らな靖枝。なつに対しては複雑な思いがあるものの、天陽の親友として温かく迎えて、嫁として完璧である。天陽役の吉沢亮と靖枝役の大原櫻子は映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』(2013)とドラマ『水球ヤンキース』(2014/フジテレビ系)でも共演しており、相性の良さを自然ににじませている。
天陽のモデルの1人と思われる神田日勝という画家は、農業をしている自分と絵を描く自分を分けて考えていたとされるが、天陽もまた、絵を描く自分だけの世界を大切にしていたのかもしれない。靖枝とのなれそめをなつに語る、その背景にはなつを描いて朱色で塗りつぶしたキャンバスがそのまま飾られていた。
天陽と靖枝……理想のカップル度☆ 相性☆☆☆