『アラジン』ジーニー役でさらにパワーアップ! 「七色の声を持つ」山寺宏一のマルチな活動

山寺宏一のマルチな活動を振り返る

 映画『アラジン』の吹き替え版で、ウィル・スミスが演じるジーニー役として、高評価を得ている山寺宏一。アニメ版『アラジン』(1992年公開)でもジーニー役の声優を務めており、日本ではジーニー=山寺宏一という印象がもともと強い。今回の映画ではその単なる焼き直しではなく、ウィル・スミスらしいコミカルさも細かく表現されていて、“山寺ジーニー”がさらにパワーアップしていると評判だ。俳協演劇研究所で演技を学び、1986年から東京俳優生活協同組合に所属。2008年からは、アクロスエンタテインメントに籍を置き、声優・ナレーター・役者・タレントなど幅広く活躍することで、「七色の声を持つ」とも呼ばれる山寺宏一のすごさとは?

役の振り幅の広さがすごい!

 洋画作品の吹き替えでは、『ビバリーヒルズ・コップ』シリーズのエディ・マーフィが有名だ。他に『ラッシュアワー』シリーズのクリス・タッカー、ジム・キャリー、マイク・マイヤーズなどで、吹き替えを担当し、洋画の世界ではコメディ作品が目に付く。日本のアニメ作品では、『新世紀エヴァンゲリオン』で、敵とも味方ともつかないミステリアスな加持リョウジを演じた他、『カウボーイビバップ』では、クールな主人公のスパイク役で知られている。

 子供も楽しめる作品にも多く出演している。『それいけ!アンパンマン』では、名犬チーズをはじめ、カバオくん、かまめしどんなど複数の役をひとりで演じ分ける。声優が自分の役以外にガヤの声も担当することは少なくないが、同じ作品で役名のついた役柄を複数担当するのはレア。『アンパンマン』のキャラ数の多さもあるが、山寺の器用さがあればこそだ。また『アラジン』を筆頭に、ディズニー作品とは縁が深く、『美女と野獣』『ムーラン』『リロ・アンド・スティッチ』など10役以上を務めていて、ドナルドダックの声はあまりに有名。スティッチやドナルドなど、何だか分からない言語を発させたら、山寺は天下一品だ。

 このようにコメディからクール、ヒーロー、三枚目、そして人間以外まで。その役のキャラクターを印象づける声と演技力で定評がある山寺。先輩の声優からも一目置かれ、後継者として指名される機会も多い。例えば銭形警部は、故・納谷悟朗に代わって、2011年『ルパン三世 血の刻印 〜永遠のMermaid〜』から登板し、山寺が演じるクールでキレ者の銭形警部像が、今では広く定着している。また、富山敬の後を継いだ作品も多く、『宇宙戦艦ヤマト復活編』では、主人公・古代進、『同・2199』ではデスラー総統を演じた。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アクター分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる