『なつぞら』天陽の結婚、千遥の行方、雪次郎の乱……衝撃の展開が続いた第13週を振り返る

『なつぞら』衝撃の展開が続いた第13週

 『なつぞら』(NHK総合)第13週「なつよ、“雪月”が大ピンチ」の主人公は間違いなく雪次郎(山田裕貴)だ。一人息子が川村屋を辞め役者になると知り、十勝から新宿にやってきた小畑雪之助(安田顕)、とよ(高畑淳子)、妙子(仙道敦子)の3人。雪次郎は、バタークリームのロールケーキに覚悟と誠意を込め、夢に向かっていくことを誓った。

 しかし、週の終わりとなる第78回の衝撃があまりにも強すぎた……。なつ(広瀬すず)が同じ東洋動画で働く陽平(犬飼貴丈)から聞かされることとなる天陽(吉沢亮)の結婚。十勝・柴田牧場を訪ねる千遥らしき少女。柴田家の父・剛男を演じる藤木直人による「なつぞらアニメーション」。そして、放送後に報じられた大原櫻子が天陽の妻・山田靖枝を演じるというニュース。そのどれもが驚きの連続であるが、特に天陽の結婚はあまりにも突然の出来事で、Twitterでは半日近く「天陽くん」がトレンドに入り続けていたほどだ。

 なつがアニメーターとして初めて手がけた長編漫画映画第2弾『わんぱく牛若丸』の制作がひと段落し社内で開かれた「おつかれさま会」にて、なつは陽平からその年の冬に天陽が結婚することを聞かされる。東洋動画で誰も知る人のいないFFJ(日本学校農業クラブ連盟)の歌を高らかに歌い上げた後、なつはその事実を知り、周りの喧騒が聞こえなくなるほどにショックを受ける。

 「えっ」「結婚……?」と真顔になる、なつ。脳内に浮かぶのは、高校から馬に乗り帰る道中「なっちゃん!」と笑顔で手を振ってくる天陽。アニメーションの道に進む一つのきっかけとして絵を描くことを教えてくれたキャンバスに向かう天陽。十勝の冬に自分へと情熱を見せてくれた夢に生きる天陽……。我に帰ってもいまだ動揺を隠すことのできないなつは、「なんだ。そんならそうと手紙で知らせてくれたらいいのに。水くさいわ。天陽くん」と陽平に平気な素振りを見せるが、風車に戻るとコップに注いだ水をゴクッと飲み、一人物思いに耽る。

 「俺はなっちゃんが好きだ。それはこれからも変わらない」と天陽に送り出された第8週「なつよ、東京には気をつけろ」以降も、なつと天陽の物語は続いていた。東洋動画の入社試験で馬が柵を飛び越える様子を描いた時、なつはかつて天陽と描いたパラパラ漫画を思い出し、照男(清原翔)と砂良(北乃きい)が風車に来た時、「なっちゃんの恋人」と天陽を紹介されたなつは分かりやすく照れながら「私の目標とする人です」と女将・亜矢美(山口智子)に説明。アニメーターとして動画に携わる以前は、展覧会にて絵が入賞していた天陽と手紙でやり取りを続けていた。しかし、第10週「なつよ、絵に命を与えよ」で天陽は両親から「お前も早くお前の家族を作れ」「なっちゃんのことはもう忘れてちょうだい」と告げられる。キャンバスに描いたなつの絵を赤の絵の具で上書きし、天陽が涙を流すシーンから、一切彼は物語に姿を見せていなかったわけだが、裏で天陽自身の新たな人生もスタートしていたということになる。

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