『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』公開目前! トム・ホランドをひもとく8のキーワード

トム・ホランドを追う8のキーワード

 ハリウッドには、沢山の“トム”がいる。トム・クルーズ、トム・ハーディ、トム・ハンクス、トム・ヒドルストン……そして、トム・ホランドだ。実はこのトム・ホランド、今名前を挙げたハリウッドを代表するトムたちの全てを兼ね備えた男の子とも言える。

 トム・クルーズ並みのスタント力、トム・ハーディ並みの色気、トム・ハンクス並みの優しさ、トム・ヒドルストン並みの紳士さ……加えて言うと、どんな相手でも虜にしてしまうそのチャーミングさでトム・ホランドの右に出るものはいないと思っている。

 日本では「トムホ」の愛称で親しまれている彼の最新作『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』が2019年6月28日に世界最速で公開される。それに合わせて、今一度この主演俳優を8のキーワードで読み解いていきたい。

1.キャリア(Acting Career)

 トム・ホランドのキャリアが始まったのは、2008年のこと。彼はイギリス・ウィンブルドンにある「Nifty Feet Dance School」でヒップホップダンスのクラスを受けていた。その時の彼に目をつけ、ポテンシャルを感じたのが映画『リトル・ダンサー』のコレオグラファー(振付師)だった。実はミュージカル版『リトル・ダンサー』(『ビリー・エリオット』)の公演が控えており、ホランドはなんと、その後8回に及ぶオーディションを経て主人公ビリーの親友であるマイケル役の座を射止めた。彼はこれを2010年まで演じている。そして、次に彼が手にしたチャンスは、UK・オーストラリア・ニュージーランド版『借り暮らしのアリエッティ』のショウの英語吹き替え。当時彼は14歳だった。

 舞台、吹き替えときて、ようやく彼がスクリーンデビューを果たしたのは『アリエッティ』の2年後、2012年公開の『インポッシブル』。そしてまさにスパイダーマンの役を手に入れる決定打となった作品は、2015年に公開された『白鯨との戦い』なのである。

2.クリス・ヘムズワース(Chris Hemsworth) 

 そんな『白鯨との戦い』で主演を務めていたのは、既にMCUシリーズにも参加していたクリス・ヘムズワースである。ホランドはヘムズワース演じる一等航海士の乗る船のキャビン・ボーイ役で出演。のちに、ヘムズワースはホランドがスパイダーマン役のオーディションを受けていることを知る。共演歴があり、ホランドが才能ある俳優だということを知っていた彼は、キャスティング担当に連絡して、彼のことを推しに推したのだ。このヘムズワースの後押しと、もちろんホランド自身の持つ演技力が買われて無事、スパイダーマン役に抜擢された。

 ホランドの人生を変えたと言っても過言ではない、このスパイダーマン役キャスティングの背景に、雷神ソーが一役買っていた。彼自身も、ホランドの人生を語る上で重要な人物なのである!

3.スパイダーマン(Spiderman MCUver.)

 こうして、満を辞して歴代最年少のスパイダーマン役者となったホランド。『キャプテン・アメリカ/シビル・ウォー』で初登場し、その後単独作品『スパイダーマン:ホームカミング』を通して、キャラクターだけでなくホランド自身の魅力を最大に発揮してきた。

 実はスパイダーマンは、ホランドが幼い時から一番好きだったヒーローなのだ。彼は『ホムカミ』プロモーション時のインタビューで「子供の頃、スパイディのパジャマを着ていた」とも語っている。だから、MCU版のピーター・パーカーが常に新しい物事に対して不安よりエキサイティングな気持ちを抱いているのは、役者本人の気持ちが素直に表に出てきているからなのかもしれない。そういう、素直なピーター・パーカーは実は我々にとっては新鮮だ。過去2シリーズにおけるピーター・パーカーたちは、基本的に苦悩や葛藤、そして所謂“ベンおじさんエクスペリエンス”を経験している。誰かさんはガールフレンドが目の前で死んでしまうし……。それに比べ、“まだ”MCUのピーターはお気楽モードだった……『エンドゲーム』までは。

 遂にMCU版“ベンおじさんエクスペリエンス”と言っても過言ではない経験をしてしまった、ピーター。彼の心情変化や葛藤がメインで描かれることが予測できる『ファー・フロム・ホーム』は、これまでの演技にどのような変化を加えるかという、ホランドにとっても実は挑戦的な作品なのかもしれない。

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