『いだてん』杉咲花、中村勘九郎らが次世代に灯した光 「種まく人」が描かれた第一部最終回

『いだてん』種まく人が描かれた第一部最終回

 『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』(NHK総合)第24回「種まく人」が6月23日に放送された。関東大震災によって壊滅状態になった東京で、四三(中村勘九郎)は「復興運動会」のアイデアを思いついた。四三が「いだてん」として自らの使命を果たす姿や、四三や治五郎(役所広司)、三島(生田斗真)やシマ(杉咲花)といった人々が「種まく人」として、次の世代に光を灯したことが印象的な回となった。

 四三が「いだてん」として自らの使命を果たすとき、彼の背中を押したのは義母・幾江(大竹しのぶ)だった。関東大震災の後、四三は熊本にいるスヤ(綾瀬はるか)の元へ戻った。四三の無事にスヤや実次(中村獅童)は安心した様子を見せるが、幾江は厳しい表情で「なーし帰ってきた」と四三に問う。そんな幾江の顔をじっと見つめる四三。中村はどこか心残りがあるような表情を見せる。関東大震災後の東京で、自分の無力さを思い知った四三だが、「何かしなければ」とは思っていたのだろう。そんな四三の心情を、中村は繊細な演技で表現する。幾江は四三を叱咤した。

「東京に残って、踏ん張らんでどぎゃんする」
「弱ってる人に手ェば差し出さんで、どぎゃんする」

 場をおさめようとした実次が発した「逆らわずして勝つ」という言葉を聞き、奮起した四三。四三は「(地震に対して)そもそも人間は無力たい」と発した。その表情は清々しい。だが決して、関東大震災を楽天的に捉えているわけではない。つらい現実から目を背けているわけでもない。震災後の生活にどう向き合うべきか、未来をどうすべきか、彼の中で決着がついたのだ。

 東京へ戻ることに決めた四三に、幾江は四三に「韋駄天」が何の神様なのかを伝える。

「人々のために、走って、食いもんば集めて、運んだ神様たい」

 これまでずっと走り続けてきた四三。日本人初のオリンピック選手として讃えられたり、時に世間から厳しい言葉を浴びせられても、バカのようにずっと走り続けてきた。「いだてん」と呼ばれてきた四三は今、人々のために「韋駄天」としての使命を果たすことになるのだ。東京に戻った四三は走り続けてきた仲間と共に、幾江たちから託された救援物資を背負って走り出した。

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