『なつぞら』吉沢亮、天陽の魂を表した名シーン 次週より東京・新宿編がスタート
「何もないキャンバスは広すぎて、そこに向かってると自分の無力ばかり感じる。けど、そこで生きている自分の価値は、ほかのどんな価値にも流されない。なっちゃんも道に迷った時は、自分のキャンバスだけに向かえばいい。そしたらどこにいたって俺となっちゃんは、何もない広いキャンバスの中で繋がっていられる」
クールに見えて情熱的で、哲学的な天陽らしさが溢れるセリフだ。第6週、第33回で映画『ファンタジア』を観て、「アニメーションってなんでもできる」と感銘するなつに天陽が言った「なんでもできるってことはなんにもないのと同じ」と開拓していくことの難しさを説いたこと、第42回で天陽の父・正治(戸次重幸)が言った「東京に行っても、なっちゃんとは陽平(犬飼貴丈)で繋がっていられるんだな」というセリフにそれぞれ自分なりの答えを出していることも、なつと天陽の会話一つひとつが2人のためにあったことを示している。
天陽を演じる吉沢亮のセリフ回し、表情もまるでFFJ(日本学校農業クラブ連盟/Future Farmers of Japan)の精神を感じさせるほどに熱い。広瀬すずの頬に伝う涙、広瀬の右手を両手で握り返す吉沢。広瀬のセリフはほとんどなく、その涙と吉沢を見つめる表情、自然と見渡す十勝の冬空に、なつの決断と覚悟が詰まっている。
第8週「なつよ、東京には気をつけろ」より、いよいよ「東京・新宿編」が本格的にスタートする。公式ホームページにも、新宿編の登場人物相関図が掲載された。注目は、なつの兄・咲太郎(岡田将生)と親子のような関係にある、おでん店「風車」女将・岸川亜矢美(山口智子)。ほかにも、東洋動画スタジオの人々に大沢麻子(貫地谷しおり)、三村茜(渡辺麻友)といった、さらなる新キャストも登場する。これから物語が華やかな新宿と十勝をどのように行き来していくのかにも期待したい。
■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter
■放送情報
連続テレビ小説『なつぞら』
4月1日(月)〜全156回
作:大森寿美男
語り:内村光良
出演:広瀬すず、松嶋菜々子、藤木直人/岡田将生、吉沢亮/安田顕、音尾琢真/小林綾子、高畑淳子、草刈正雄ほか
制作統括:磯智明、福岡利武
演出:木村隆文、田中正、渡辺哲也ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/natsuzora/