『あなたの番です』マンションの住人らに徐々に変化が 殺人者になる葛藤をスリルに描く

『あなたの番です』殺人者になる葛藤

 “交換殺人ゲーム”のルールを絶対に守るのであれば、次は自分が誰かを殺さなくてはいけない。28日に放送された日本テレビ系列日曜ドラマ『あなたの番です』第3話では、マンション“キウンクエ蔵前”から飛び出した交換殺人の連鎖と、届けられる脅迫文によって追い詰められていく403号室の藤井(片桐仁)の姿にフォーカスが当てられた。“殺してほしい人”として名前を書いたドクター山際が殺されたことで、次は自分自身が殺人者になることを余儀なくされるという極めて特殊な心理状態によって生まれる葛藤が実にスリリングに描き出されていたといえよう。

 手元にある紙に書かれていた“タナカマサオ”という、いたく平凡な名前の人物を探す藤井。それと同時に自分を脅迫している人物を探すために、各住民を訪ねて歩き「あなたの番です」と書かせるもとても見つかりそうにない。そんな中でも新たな伏線のようなものをひたすら張り巡らせ、まったく手の内を明かそうとしない本作は、見るからに怪しげな住人たちの姿を少しずつ少しずつ映していくのだが、これまでと比較して微妙な変化を垣間見せていた。

 それは住人を監視するやたら不穏な存在に見えていた401号室の木下(山田真歩)が、決してそのイメージ通りではないということが翔太(田中圭)の言葉から見受けられる点。そして502号室の家族の嫁姑の不仲がついに爆発しかけたことや、常に怪我をしている202号室の沙和(西野七瀬)についての仮説が生まれたことなど、ただただミステリアスなわけではない、登場人物それぞれのドラマへの入り口が提示されていたというわけだ。これらはすべて、今後のエピソードの伏線として何らかの意味をもつような予感がひしひしと漂っている。

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