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『わたし、定時で帰ります。』“働く意識”の違いをどう受け入れる? 吉高由里子らの姿から学ぶこと

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 「わたしは、これ以上頑張りません。定時で帰ります」。

 一緒に働く人が、こう言ったらあなたはどう思うだろうか。

 「なぜ頑張らないの?」「もっと頑張ろうよ!」「定時で帰るって当たり前じゃないですか?」「私もそうしたい……」唯一無二の答えがない中で、どうしたらより多くの人が心地よく過ごせるかを模索しながら、私たちは働いている。それが火曜ドラマ『わたし、定時で帰ります。』(TBS系)が届けてくれる、ひとつのメッセージだ。

 物語の舞台は、今どきのWeb制作会社。吉高由里子演じる主人公・東山結衣は、定時で帰ることをモットーとするディレクターだ。だが、仕事をサボって帰っているわけではない。その日、やるべきことは綿密にタスク管理して、業務時間内に手際よく進めていく。無駄なミーティングや、慣例的な飲み会は一切しない。声がかからない限り、他の人の仕事には手も口も出さない。そうして無理・無駄を徹底して省くからこそ、定時帰りが実現できているのだ。

 18:00ピッタリに会社を出て、行きつけの中華料理屋へ。ハッピーアワー価格のビールで喉を潤し、頑張った自分を労うのが彼女の日課。こうして文字にして見ると、大変優秀な社員だ。だが、その働きぶりに「なぜ定時で帰るのか?」と、疑問を持つ人もいる。

 結衣と同じ32歳の三谷佳菜子(シシド・カフカ)だ。第1話では、三谷と新人社員のジェネレーションギャップが中心に描かれた。彼女は「新人は30分前に会社に来て先輩の下働きをするもの」「仕事は無理してでもやるもの」「台風の日も、体調が悪い日も、会社には来るもの」……褒められたことなど1度もなく、どんなに頑張っても「仕事が遅い」と言われて育った。「要領が悪い」と言われ続けた結果、「自分は人の10倍努力しなければならない」と、自らを追い込んできたのだ。

 「私の時代はこう言われて育った」と、ついには新人社員にも同じことをさせようと叱りつける。だが、かつての三谷とは違い、新人社員からは「やってらんねー!」「古くないですか。10年前のスタンダード押し付けないでくださいよ!」と反発されて、ついに心が折れてしまうのだった。

 自分がされてイヤだったことなのに、気づけば自分もやっている。そうしてしまうのは、きっと自分が育ってきた環境をどこかで正当化したいからではないだろうか。それを信じて、自分はここまで育ったのだから、と。しかし、世の中は大変な思いをしないようにと進化していく。だから、次の世代が苦労をしないのは、自分たち世代が頑張った成果でもあるはずなのに、人はどこかで「自分だけが損をした」というモヤモヤを断ち切れない弱さもある。

 「私と同じように苦労しなさい」とは、誰も言えない。だが「あなたのために言ってる」と言いかえたらどうだろう。相手を思って忠言しているように見えて、本音は“相手にそうあってほしい“という押し付けの、いい建前にならないだろうか。そんな言葉が日本には長い間根付いていたのかもしれない。

      

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