『まんぷく』は時代が求めた朝ドラだったーー「天才」を支える仕事に込められた大きなロマン

『まんぷく』は時代が求めた朝ドラだったーー「天才」を支える仕事に込められた大きなロマン

 3月30日放送分で、好評のうちに幕を閉じたNHK連続テレビ小説『まんぷく』。

 ヒロイン・福子役の安藤サクラ、夫・萬平役の長谷川博己という達者な役者を中心に、ヒロインの母で「ぶしむす」鈴を演じた松坂慶子、萬平の「親友」で名パートナー・世良役の桐谷健太などの強烈スパイスを加え、家族や仲間たちなど、愛すべきキャラクターを取り揃えた多幸感溢れる作品となった。

 しかし、『まんぷく』がこうも視聴者に愛された理由には、時代が求めた朝ドラだったことも挙げられるだろう。

 『まんぷく』はご存知の通り、日清食品の創業者・安藤百福の妻をモデルとしたオリジナルストーリー。これまでも実在のモデルがいる朝ドラは多数あり、特に『ゲゲゲの女房』での放送時間変更の大改革以降は、『カーネーション』『花子とアン』『マッサン』『あさが来た』『とと姉ちゃん』『べっぴんさん』『わろてんか』など、増加傾向にある。

 とはいえ、近年のモデルが実在する作品を振り返ると、誰もがモデル自身を知る『ゲゲゲの女房』を除いて、本作ほどに日常生活の中に溶け込んでいるモノが登場した作品は他にない。アイテムに対する親しみが圧倒的に強いこと。さらに、それが誕生する過程を、後の世界から覗き見できるワクワク感は非常に大きなものとなった。

 まして今は、終身雇用が崩れ、賃金も上がらず、経済が完全に停滞している時代。仕事に対するモチベーションは保ちにくく、幸せの沸点を低く設定して、日々穏やかに暮らしている人は多いことだろう。

 現代の日本・さらに世界において、萬平・福子夫妻が何度も繰り返した「世の中にまだない、画期的な商品」が生まれる土壌は、AIなどのIT分野を除くと全くないと言って良いかもしれない。

 その一方で、職人やアスリートなど、「技術」に対するリスペクトは明らかに高まっている。そんなご時世に、「全く新しい商品」を生み出すことにすべての情熱を注ぐ萬平&福子夫妻の姿は、私たちに勇気やエネルギーをもたらしてくれるものだった。

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