『バンブルビー』なぜ高評価を獲得? 『トランスフォーマー』シリーズの今後を占う重要作に
さらには、主演を務めたヘイリー・スタインフェルドの功績も大きい。ReelView誌は、「この映画の大部分は、ヘイリー・スタインフェルドのパフォーマンスによりできている。他の『トランスフォーマー』映画で、こんなにも作りこまれたキャラクターを見たことがない」とコメント。登場人物の描き方の深さも、本作が歴代シリーズと大きく異なる点だ。
また、今回のバンブルビーは記憶をなくしており、チャイルデッシュな様子で登場する。その姿は、外見にも反映されており、過去シリーズのシボレーのカマロをモチーフにしたスポーツカーのスタイリッシュなデザインとは違い、フォルクスワーゲンのビートルの可愛らしい姿で描かれている。細かいディテールにもこだわりが感じられる。
「トラヴィス・ナイトは、2つの大きな青いフラッシュライトでできたバンブルビーの瞳から優しさを抽出し、さらに巨大な機械に心臓の鼓動を与えることに成功した」と評したのはDetroit News誌。血の通ったロボットの表現力に心を打たれることだろう。
本作の予算は推定1億3500万ドルとされており、これは歴代シリーズの中で最低予算で製作されたこととなる。日本以外の国での公開が始まった今年1月21日時点での世界全体の興行収入は、4億1373万ドル。前作には届かなかったが、上々の結果だ。パラマウント・ピクチャーズは昨年5月の報道で、今年6月に公開が予定されていた『トランスフォーマー6』の製作を中止しており、さらに昨年12月には、『トランスフォーマー』シリーズは今後も製作されるが、その内容は今まで作ってきたものとは違うものになると明言しており、シリーズ全体の今後を模索している最中にある。
マイケル・ベイが2007年に世に放ったビッグシリーズは、今トラヴィス・ナイト監督という新しい血を入れたことにより、マンネリ化からの脱却への糸口を掴みだした。この先、MCUシリーズのように様々な監督の手によって、多様性を見出すかもしれない。今後のシリーズの展開を占う意味でも今作『バンブルビー』は必見の一本となっていると言えるだろう。
(文=安田周平)
■公開情報
『バンブルビー』
3月22日(金)全国公開
出演:ヘイリー・スタインフェルド、ジョン・シナ、ジョージ・レンデボーグ・Jr.、ジョン・オーティス、ジェイソン・ドラッカー、パメラ・アドロン、ステファン・シュナイダー
監督:トラヴィス・ナイト
原案:クリスティーナ・ホドソン
脚本:クリスティーナ・ホドソン、ケリー・フレモン・クレイグ
製作:ロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラ、ドン・マーフィ、マイケル・ベイ、マーク・ヴァーラディアン
製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ、ブライアン・ゴールドナー、クリス・プリガム
配給:東和ピクチャーズ
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公式サイト:bumblebeemovie.jp