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『翔んで埼玉』に見る“ご当地自虐映画”の意外な奥深さ 埼玉、群馬の次に標的になるのはどこだ!?

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 大作・話題作を抑え、全国映画動員ランキング初登場1位から“埼玉”を中心にその盛り上がりが全国へと広まっている『翔んで埼玉』。ご存知の方も多いだろうが、本作は埼玉を舞台とし、その埼玉をディスりまくる“ご当地自虐映画”だ。

 魔夜峰央による同名コミックを原作に、『テルマエ・ロマエ』シリーズや『今夜、ロマンス劇場で』などの武内英樹監督がメガホンを取り、二階堂ふみとGACKTが主演を務めた、豪華絢爛なコスチューム・プレイである。本作の物語は、アメリカ帰りの高校生・麻実麗(GACKT)が、東京にある架空の超名門校・白鵬堂学院に転入し、この学院のトップである壇ノ浦百美(二階堂ふみ)と出会うことからはじまる。この世界観において東京は全国民の憧れの地であり、隣接する埼玉県は、ひどい差別を受けている。百美の口からは「埼玉県人にはそこらへんの草でも食わせておけ!」というトンデモ発言まで飛び出し、それがまかり通っている異常な世界だ。ところがじつは、麗は自身の出自を隠した“隠れ埼玉県人”。“埼玉解放”という革命を起こすべくやってきた男だったのだ。

 この設定からして常軌を逸しているとしか思えないが、同じ国民、同じ人間であるにもかかわらず差別や偏見が横行するさまは、カリカチュアライズされた現代社会だとも見て取れる。上映尺である107分間、抱腹絶倒な“埼玉ディス”のナンセンス・ギャグが飛び交うが、そこで放たれる皮肉の矢は、絶えず私たちにも向けられているのだ。主演の二人だけでなく、伊勢谷友介、京本政樹、麿赤兒といった俳優陣が、あまりにバカバカしいことを生真面目にやっていることも相まり笑いを禁じ得ないが、それと同時に、差別・偏見に立ち向かう彼らの切実さに、ふいに胸を打たれてしまう。

 それはそうといまさらだが、“ディス”とはディスリスペクトの略語だ。つまり軽蔑などを意味している。埼玉県人以外の者たちからの“ディス”は、悪口以外のなにものでもないが、埼玉県人たち自身の郷土愛は傍から見れば滑稽で、これまた自ら“ディス”を行っているようにも思える。しかしそこでアピールされる、埼玉の特産品・草加せんべいや、“埼玉県民の鳥”に指定されているシラコバトの羽と埼玉の“玉”をイメージした、誇り高き埼玉を象徴する“埼玉ポーズ”。さらには敵対する千葉県との出身著名人バトルなど、その“ディス”には翻ってリスペクト精神が見出だせるのだ。

      

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