現地LAからアカデミー賞直前予想! 老舗映画賞が直面する、視聴行動の変化とインクルージョン
作品賞
『ブラックパンサー』
『ブラック・クランズマン』
『ボヘミアン・ラプソディ』
『女王陛下のお気に入り』
『グリーンブック』
『ROMA/ローマ』
『アリー/ スター誕生』
『バイス』
米国内でも最も予想が分かれるのが作品賞で、劇場公開を前提に考える保守層は『グリーンブック』を、作品のクリエイティビティに上映フォーマットは関係ないとする革新派は『ROMA/ローマ』を作品賞に予想している。Netflixはこの1月にMPAA (アメリカ映画協会)に新規加入し、劇場公開時にMPAAのレーティングを受けることになる。これは、Netflix作品を今後も劇場公開することを示唆する動きで、頭の固い老齢アカデミー会員対策とも言えるだろう。ちなみに、『ブラックパンサー』は興行収入では8作品の中で最高の13億ドル超えで、スーパーヒーローものとして初めて作品賞にノミネートされた作品となった。衣装デザイン賞には黒人女性として初めてノミネートされていることもあり、受賞の可能性もある。
映画配給フォーマットの変化、そしてインクルージョンは、90回以上も続いている古いしきたりにがんじがらめになったアカデミー賞にどんな変化を与えるのか。そして、91回の歴史上30年ぶり2度目となる司会者のいない授賞式は無事執り行われるのか……。2月24日(日本時間25日朝)の授賞式は、映画の潮目が変わる瞬間となるかもしれない。
■平井伊都子
ロサンゼルス在住映画ライター。3年間の任期付外交官を経て、映画業界に復帰。
メイン写真:第91回アカデミー賞候補者たち Todd Wawrychuk / (c)A.M.P.A.S.