岡田健史の瞳に宿るスター性 『中学聖日記』中学生から社会人までの“成長”を振り返る

岡田健史の瞳に佇むスター性

『中学聖日記』第6話より(c)TBS

 かたや、ふいに見せる男っぷりはズルさの極み。なかでも晶の男気が爆発した場面といえば、なんといっても第9話の暴風雨での一幕である。行方不明になった聖を見つけた晶が放った「なんで連絡しないんだよ。心配させんなよ」という突然のタメ口に、SNSは一斉にザワザワ。着実に大人の階段をのぼる晶から漏れる男っぽさに、ティーンエイジャーからお姉さま方まで、見事なまでに心を射ぬかれた。

 しかも、このときめきはまだまだ終わらない。直後に敬語に戻ることで、理性よりも感情が上回って出た言葉であったことが伝わり、一層女子の心を締め付けることに。ここから畳みかけるように続く、山小屋シーン。「俺だって、男ですよ」というパワーワードを繰り出し、晶への恋心を認めた聖を抱き寄せてキス……この時見せたのは、聖の首元に手を添えるといった大人な振る舞いで、これまでのキスとのギャップにもドキドキさせられるのだった。

『中学聖日記』第10話より(c)TBS

 また岡田の振り幅という意味では、デビュー作にして、学ラン姿の中学生に始まり、スーツに身を包んだ社会人までを演じたという点も、称賛すべきであろう。中学生らしい猪突猛進な男子から、少し成長するも、やはり自分の感情を抑えることができない高校生、そしてエンディングで見せた、余裕のある温かな微笑みを浮かべる社会人姿。19歳の岡田が中学生役を演じることに対して様々な意見が飛び交ったのも事実だが、そのすべてを吹き飛ばすほど爽やかな結末となった。

 お手並み拝見とばかりに彼と向き合った視聴者は多かったはずだが、気づけば多くが岡田の虜と化した。もちろん、作品と岡田の相性の良さもあるが、やはり岡田自身が持つスター性によるところが大きいだろう。しかもそのスター性は、ギラギラとしたものではなく、品よく、そこに佇んでいる。一方で、筆者がインタビューした際、彼を前にして感じた芯の通った人としての強さも、本作を通じて全国へと伝わったはずだ。

『中学聖日記』第11話より(c)TBS

 男くささと艶っぽさは、相対するものとも思えるが、それをバランスよく兼ね備える岡田。“守ってほしいし、守りたい”ーー女子が一番好きな感情を、いとも簡単に引き出す彼のポテンシャルには感嘆するばかり。さらに、良い意味で今時らしくない昭和っぽさは、若い世代のみならず、幅広い層から好評である。今後は、王道の胸キュン作品への出演となるのか、はたまた社会派作品となるのか。ドラマなのか、映画なのか、はたまた舞台なのか。可能性は、無限に、目映く広がっている。

※記事初出時、一部に記述の誤りがありました。訂正してお詫びいたします。(2018年12月24日21時)

■nakamura omame
ライター。制作会社、WEBサイト編集部、専業主婦を経てフリーライターに。5歳・7歳の息子を持つ2児の母。ママ向け&エンタメサイトを中心に執筆中。Twitter

■公開情報
火曜ドラマ『中学聖日記』
TBS系にて、毎週火曜22:00~23:07放送
出演:有村架純、岡田健史、町田啓太、マキタスポーツ、夏木マリ、友近、吉田羊、夏川結衣、中山咲月
原作:かわかみじゅんこ『中学聖日記』(祥伝社フィールコミックス)
脚本:金子ありさ
演出:塚原あゆ子、竹村謙太郎、坪井敏雄
主題歌:Uru「プロローグ」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
製作:ドリマックス・テレビジョン、TBS
(c)TBS
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/chugakuseinikki_tbs/

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