安藤サクラ、“マネジメント能力”を徐々に発揮 『まんぷく』萬平を信じ続ける強さ

『まんぷく』萬平を支える福子の強さ

「違います。みんなあなたを尊敬しているの。あなたに助けられたと思っているんです。萬平さん、大事なことはあなたの口から言わないと」

 みんなで一つ屋根の下で暮らし、萬平の仕事を手伝うことで彼らは懸命に生きようとしてきた。そして、そんな彼らの貢献のおかげで、萬平も存分に“人の役に立つ”ことをしてこられたはずだ。だからこそ福子は、萬平には彼らとしっかり向き合ってほしかったのだろう。萬平がリーダーとして彼らにあるべき姿を示し、一人ひとりに自分の声を届けること。皆に謝罪をするときに、負担をかけ続けた森本(毎熊克哉)や小松原(前原滉)の名前を次々に呼んでいくシーンは、まさしくみんなに向き合おうとする萬平の姿があった。

 栄養失調の人々はもちろん念頭にあってしかるべきだ。彼ら、彼女らを救うことは喫緊の課題である。だが、そのためにも萬平たちがまず一丸となることが、長期的に見ればきっと有益なはずだ。これまで、福子や神部(瀬戸康史)たちはみんな萬平のひたむきな姿を信じてきた。だから福子は、これからも萬平にはみんなのやる気を引き出してくれるような存在でいてほしいと考えたのだろう。いつだって萬平の力を信じ続ける福子らしい思いである。

 福子を演じる安藤サクラは、皆を支える“福ちゃん”として、これまでの出演作とは異なる“朗らかさ”を見せている。その姿に癒やされる一方で、萬平や鈴を相手に“気づき”を与える際は、『万引き家族』のときのような“鋭さ”も放っている。福子がマネジメント能力を発揮していく中で、安藤の研ぎ澄まされた演技も増えていきそうだ。

(文=國重駿平)

■放送情報
NHK連続テレビ小説『まんぷく』
10月1日(月)〜2019年3月30日(土)【全151回】
作:福田靖
出演:安藤サクラ、長谷川博己、内田有紀、松下奈緒、要潤、大谷亮平/桐谷健太、片岡愛之助、橋本マナミ、松井玲奈、呉城久美、瀬戸康史、中尾明慶、橋爪功、松坂慶子ほか
語り:芦田愛菜
制作統括:真鍋斎
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/mampuku/

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