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【ネタバレ】『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』はなぜいびつな作品になったか

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 J・K・ローリングによる原作小説や、映画化作品で絶大な人気を誇る『ハリー・ポッター』シリーズ。その終了後に制作が始動した新たな映画シリーズが『ファンタスティック・ビースト』だ。『ハリー・ポッター』のなかに登場した書籍で、実際に販売もされた『幻の動物とその生息地』を基に、J・K・ローリング自ら脚本を書き上げた、いまのところ5部作になるといわれている長大なスピンオフ企画である。その第2作となるのが、ここで扱う『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』だ。

 この作品、ほどほどの楽しい娯楽映画だとたかをくくっていると、いろいろな意味で驚かされることになるはずだ。なぜならそこには、J・K・ローリングの内面が予想以上に反映していたからである。ここでは、そんな『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』のどこが驚きの部分なのか、ストーリーそのものよりも、今回の作品の本質にある「愛」と「政治」の問題を中心に解説していきたい。

 『ファンタスティック・ビースト』シリーズは、1920年代後半から世界各地を舞台に、主人公のニュート・スキャマンダー(エディ・レッドメイン)の風変わりだが魅力的なパーソナリティ、幻の動物たちや仲間たちとのふれあい、悪事をはたらく強力な闇の魔法使いとの戦いを描いていく。

 本シリーズは第1作から、ただそのような要素を娯楽として楽しませるだけのものにはなっていなかった。ニュートたちの生きる魔法世界と人間の世界には、とりわけ第一次世界大戦から第二次大戦の狭間にある微妙な社会情勢がとりまき、それを現在の世界に横たわる様々な問題をリンクさせることで、そこにJ・K・ローリングなりの解答を提示する仕掛けが施されていたのだ。(参考:『ファンタビ』には“トランプ批判”が込められている? 社会派ファンタジーとしての側面を読む

 『ハリー・ポッター』シリーズでも描かれてきた魔法使いと人間(マグル)の間における差別や偏見の問題をはじめとして、政治家と大企業との結託、貧富の格差、死刑制度への批判など、物語のなかでJ・K・ローリングは、自分の政治姿勢と、あるべき未来像を明確に指し示していく。

 とくに本作では、排外的になりつつある現在の世界の動向が、作品に深い影響を及ぼしていると思われる。象徴的なのは、やはりイギリスが国民投票によって、移民問題が大きな焦点となっていたEU離脱を決定したことであろう。この決定を受けたローリングはSNSで「グッバイ、U.K.(イギリス)」と、深い失望の念を漏らし、故郷であるスコットランドをイギリスから独立させることすら主張していた。

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