『エウレカセブン』劇場版第2弾『ANEMONE』渡辺マコトPが語る、制作の裏側と完結編への展望
映画『ANEMONE/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』が現在公開中だ。本作は、2005年から2006年にかけてテレビ放送された『交響詩篇エウレカセブン』シリーズの最新作で、2017年秋より開幕した『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』第2弾作品。監督・京田知己、脚本・佐藤大、キャラクターデザイン・吉田健一のオリジナルスタッフが集結し、さらにニルヴァーシュのオリジナルデザイナーである河森正治が本作の新メカニック・ニルヴァーシュⅩのデザインを手掛けている。
今回、リアルサウンド映画部では、プロデューサーである渡辺マコト氏にインタビュー。レントンを主人公とした『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1』に続く今作ではなぜアネモネが主人公に抜擢されたのか。そして来る第3部である完結編への展望とは。その全貌について、京田監督の一番近くで仕事をしている渡辺氏に明かしてもらった。(編集部)
「『ハイエボ』では親と子の関係を描きたい」
ーー『ハイエボリューション』の2作目にアネモネを主人公とした理由は?
渡辺マコト(以下、渡辺):2本目の主人公がアネモネであることはだいぶ前から決まっていました。『ハイエボ1』を経て、実際の作り方が変わっていった部分はありますが、アネモネをメインに置くことは変わっていません。『ANEMONE』は一部設定が難しいところもあるとは思うのですが、お客さんが感情移入しやすいような形で、アネモネと一緒に“交響詩篇”の世界にダイブして観てもらいたいという意味合いが強くあります。『ANEMONE』を観れば、『ハイエボ1』をより深く理解できる作りになっていますし、一方で、「え、どういうこと?」というような驚きも準備されています。アネモネの視点のようであって、決してそれだけではなく、複数の視点を代表するような存在です。
ーー本作で最も重要な要素だと思うのですが、「ダイブする」というアイデアはどのように生まれたのですか?
渡辺:「ダイブ」というのは、監督がバンダイナムコエンターテインメントさん、SammyさんにVRの技術の見学をさせていただいたり、MX4Dの演出に携わったことが、アイデアのきっかけになっていると思います。
ーー『エウレカセブン』シリーズ自体、これまで『ポケットが虹でいっぱい』や『エウレカセブンAO』など、タイトル毎にまた違った手法や設定で物語が展開されていきました。ただ、『ハイエボ』3部作は、それに比較してもかなり大胆に変化していると感じます。
渡辺:TVシリーズが放送されていた13年前と今を比較した時に、時代も、アニメを取り巻く環境も大きく変わっています。今回、京田監督、脚本の佐藤さん、キャラクターデザインの吉田さんの3人は、「新しいものを作る」という明確なビジョンを持って挑んでいます。TVシリーズの『交響詩篇エウレカセブン』は、とてもありがたいことに大きな支持を得た作品でしたし、正直、なかなか越えることの難しい作品でもあります。それを今回リブートするということで、1段2段とフェーズをあげていく必要がありました。
ーー『ハイエボ』シリーズのテーマは「家族と継承」だと感じています。その要素はTVシリーズにもありましたが、今回の3部作では、よりはっきりとフォーカスされた印象です。
渡辺:監督たちが年を重ねて取り上げたいテーマが変わってきた、というのがひとつあります。12年前からボーイ・ミーツ・ガールが作品の軸としてありましたが、基本的には「人の繋がり」を描いた作品でもあります。『ハイエボ』では、明確に親と子の関係を描きたいという思いがありました。