福田雄一節にも注目 賀来賢人主演『今日から俺は!!』はナーバスな気持ちを吹き飛ばすドラマに

ナーバスさを吹き飛ばす『今日から俺は!!』

 “ツッパリ”について、今の若い世代が詳しくなくてもおかしくはない。当時ツッパっていた彼ら、彼女らが、何を好み、何を美徳とし、何を信奉していたかについて知る機会はかつてほど多くないからだ。10月14日からスタートする新ドラマ『今日から俺は!!』(日本テレビ系)は、ツッパリという言葉が全盛期だった1980年代初頭を舞台に、賀来賢人演じる高校生が“ツッパリ”の世界を、笑いあり涙ありで駆け抜けるヤンキーコメディである。

 己の格闘の実力で正々堂々と決着をつけるのが、喧嘩の世界のルール(らしい)。ところが、本作の主人公・三橋貴志は自由奔放、ワガママ、おまけに悪知恵が上手く働くだけに、そんな“ルール”などおかまいなし。勝てれば何だってアリというポリシーの下、規格外のプレーを連発する三橋の姿は、従来のツッパリ作品の常識からは大きく離れる。本作の見どころは、そんな三橋が奇想天外な発想で困難を切り抜けるところにあるだろう。また、随所で繰り広げられるお笑いシーンも、『銀魂2』などを手掛けてきた福田雄一節が効いている。

 しかしやはり、今となっては懐かしさも含む“ザ・ヤンキー”と言わんばかりのビジュアルも見逃せない。現在では、明らかに目に見える形で“ツッパる人々”は確かに減ったかもしれない。でも、いつの時代も若者は多かれ少なかれ、その世代特有のフラストレーションを抱えている。家族、友人、恋人、勉強、進路などなど。人によってそれぞれではあるけれど、みんな何かのことで頭を抱え、イライラし、悶々とする。親が、教師が、大げさな場合だと社会が、ちょっと鬱陶しく見え、自分を抑圧する殻を破りたいと思う。1980年代にはまだ、堂々と“無茶をする”ことで開放されるという選択肢があった。

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