傷口は鈴愛のところにまで クライマックスの『半分、青い。』は東日本大震災をどう描く?

『半分、青い。』が描く震災

 2011年3月11日、東日本に未曾有の大地震が襲ったことは記憶に新しい。いよいよ最終回に向かっていく『半分、青い。』(NHK総合)でもその時は訪れ、第150話では東日本大震災の発生が描かれた。大きな災害があったとき、人々は、日常的には当たり前だと思っている家族や友人の存在を強く意識するようになる。

 鈴愛(永野芽郁)も例に漏れず、仙台で看護師をしている友人の裕子(清野菜名)と連絡が取れなくなり、彼女の安否が気になって仕方がなかった。しかし、鈴愛が胸につっかえたものを感じる一方で、娘の花野(山崎莉里那)も問題を抱えており、学校での粗相やいじめのことを鈴愛に隠し続けていたことが発覚するのだ。

 鈴愛は花野から相談されなかったことにショックを受けるが、律(佐藤健)は「あの小さな頭の中で、整理がついていたかどうかはわかんないけど、カンちゃん(花野)はカンちゃんなりにこれ以上、ママに心配かけちゃいけないって思ってたんじゃないかな」と鈴愛に伝える。いじめは言うまでもなく、過酷な経験である。それでも花野が黙っていたのは、震災をきっかけに友人を心配する母親のことを思った上での、娘としての気遣いなのだろう。そうだとしたら、律には粗相やいじめのことを話せたとはいえ、花野の板挟みな心情を思うとあまりにも心苦しい。

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