『半分、青い。』風吹ジュンから『まんぷく』芦田愛菜へ 朝ドラのナレーションが果たす特殊な役割
10月1日にスタートするNHK連続テレビ小説『まんぷく』の“語り”を女優・芦田愛菜が務めることが注目されている。現在、14歳。朝ドラナレーション担当としては、史上最年少での抜擢だ。
ところで、朝ドラのナレーションといえば、他のドラマとは異なり、ちょっと特殊な作品との関わり方・位置づけにある。
例えば、現在放送中の『半分、青い。』の場合はかつてないほどにトリッキーで、第1回放送ではまだ胎児のヒロイン・鈴愛(永野芽郁)が「心の声」としてナレーションを担当。その後、同じ日に同じ病院で生まれた律(佐藤健)にバトンタッチ。そこから、第1週で亡くなってしまった祖母・廉子(風吹ジュン)へと引き継がれ、「天から見守る祖母」としてフォローしたり、ツッコミを入れたり、ナレーターとして後から補足したりという役割を担うことになった。
さらに、祖父・仙吉(中村雅俊)も大往生を遂げた後、ナレーションに登場。祖父母がWでナレーションし、夫婦で掛け合いまで見せるというレアケースに発展した。
亡くなった家族が見守るようにナレーションを担当するパターンは、近年では他に『ごちそうさん』の祖母・トラ(吉行和子)や『べっぴんさん』の母(菅野美穂)、『ゲゲゲの女房』の「おばば」(野際陽子)などがある。とはいえ、これは近年の流行りというわけではなく、『あすか』(1999年〜2000年)で祖母を演じた有馬稲子も前半で他界した後、ナレーターとして家族を見守っていた。
そもそも「祖母」を演じる役者がナレーションを担当するケースは、『ちゅらさん』(平良とみ)、『こころ』(岸惠子)をはじめとして、朝ドラには案外多い。いずれも「優しく懐が深く、ヒロインの理解者」であることが多いため、「見守る存在=ナレーション」として最適な距離感なのだろう。