『響 -HIBIKI-』は単なるアイドル映画ではない 平手友梨奈がまとう“危うい”オーラ
響の危うさは、劇中後半に花井も止められないほどにエスカレートしていく。平手が上腕三頭筋損傷で全治1カ月のけがを負っていたことが発表されたのは、今年1月のこと。先述した紅白の舞台での「不協和音」にて、右腕を激しく床に打ちつけたのが原因と見られている。9月5日に幕張メッセで開催された『全国アリーナツアー2018』では、平手がステージ上から転倒落下し、病院に搬送されるという事態もあった(ライブにおけるステージパフォーマンスの危険性についての是非は別として)。「ガラスを割れ!」で、1人インカムマイクを振り乱しながら花道を疾走し、センターステージで微笑を浮かべながら落ちていく姿を観ていたものとしては、やはりその危うさに否が応にも惹かれてしまうのが事実だ。
冒頭の感想に、今回答えを出すならば、懐疑心を払拭するほどの、圧倒的な平手のオーラに魅了されるだろうということ。それは、かつての「サイレントマジョリティー」や「不協和音」のように、新たな欅坂46への“入口”としても機能している。運命的な巡り合わせの上にある響と平手という関係性故に、平手が再び女優として他作品に出演を快諾することは難しいだろう。しかし、本作を観た多くの人が「平手があのキャラクターを演じたら」とその女優活動を期待せずにはいられないはずだ。
■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter
■公開情報
『響 -HIBIKI-』
全国東宝系にて公開中
出演:平手友梨奈、北川景子、アヤカ・ウィルソン、高嶋政伸、柳楽優弥、野間口徹、板垣瑞生、小栗旬、北村有起哉、吉田栄作
原作:柳本光晴『響~小説家になる方法~』(小学館『ビッグコミックスペリオール』連載)
監督:月川翔
脚本:西田征史
配給:東宝
(c)2018映画「響 -HIBIKI-」製作委員会 (c)柳本光晴/小学館
公式サイト:http://hibiki-the-movie.jp/