『グッド・ドクター』好調支えるフジ木曜劇場への信頼感 『ゆがみ』『となかぞ』『モンクリ』の功績

『グッド・ドクター』好調支えるフジ木曜劇場への信頼感 『ゆがみ』『となかぞ』『モンクリ』の功績

目先の結果より挑戦の姿勢を貫いた成果

 では、『木曜劇場』が信頼を得た理由は何だったのか。

 その理由は、連ドラ本来の魅力である“多彩な品ぞろえ”に尽きる。前述したラインナップを見れば、いかに『木曜劇場』が作品ジャンルやテーマも、各話のストーリーも、バラエティに富んでいるかが分かるだろう。低視聴率に沈んでいた時期も、手を変え品を変え、さまざまな世界観の作品で視聴者を楽しませようとしていた姿勢がうかがえる。

 単純に視聴率のみを狙うのなら、ちまたで言われているように、テレビ朝日の戦略が最も手っ取り早い。たとえば、『特捜9』『警視庁捜査一課長』『遺留捜査』『刑事7人』『ドクターX ~外科医・大門未知子~』などのシンプルな勧善懲悪をベースにしたシリーズ作が、視聴率2桁をキープする最も手堅い方法であるのは明白だ。

 しかし、すでに賢明な視聴者たちは、視聴率と満足度や熱狂度、愛情や興奮が別物であることに気づいている。それだけに、視聴率のベースが6%台にまで下がってなお、目先の結果を求めて無難な作風に逃げることなく挑戦を重ねる『木曜劇場』の姿勢が評価されているのではないか。

 ここ3作は視聴率こそ低かったが、『刑事ゆがみ』と『モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―』を手掛けた演出・西谷弘の映像は美しく洗練されていた。さらに、『刑事ゆがみ』は浅野忠信と神木隆之介のバディ、『隣の家族は青く見える』は深田恭子と松山ケンイチの夫妻、『モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―』はディーン・フジオカを筆頭に20人超の俳優をそろえるなどキャストも素晴らしかった。そして忘れられがちだが、挑戦の姿勢を貫き、スタッフとキャストを導いたプロデューサーの手腕も称賛されるべきものだろう。

よほどの失策がない限り安泰か

 何かとネガティブに捉えられがちな月9も、『海月姫』『コンフィデンスマンJP』で視聴者の信頼をつかみつつあるなど、このところフジテレビのドラマ全体がイメージアップしている。

 それだけに今期はシリーズ作であり、しかも主演変更という強引な手段を用いた『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』は、ややもったいない感がある。キャストの熱演に加え、映像のクオリティも高いが、その制作姿勢は挑戦ではなく無難。「そろそろ視聴率がほしい」とでも言っているような戦略に映るのだ。

 最後に話を『木曜劇場』と『グッド・ドクター』に戻すと、直近3作への信頼を力に、2桁視聴率という追い風が吹いたことで、よほどの失策がない限り、評判も数字も上がることはあっても落ちることはないだろう。

 山崎賢人の演技は回を追うごとにフィットし、視聴者も見る前の段階から「感動しよう」という準備が整っている。幸せな関係性が生まれているだけに、クライマックスはとびきりの大団円で、多くの視聴者に涙を流させてほしい。

※山崎賢人の「崎」は「たつさき」が正式表記

■木村隆志
コラムニスト、テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。雑誌やウェブに月間20本超のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などに出演。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもある。全国ネットの地上波連ドラは、毎クール全作品を視聴。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。

■放送情報
『グッド・ドクター』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00放送
出演:山崎賢人、上野樹里、藤木直人、戸次重幸、中村ゆり、浜野謙太、板尾創路、柄本明 他
原作:『グッド・ドクター』(c)KBS(脚本:パク・ジェボム)
脚本:徳永友一、大北はるか
プロデュース: 藤野良太、金城綾香
協力プロデュース:西坂瑞城
演出: 金井紘、相沢秀幸
制作:フジテレビ
(c)フジテレビ
公式サイト:http://www.fujitv.co.jp/gooddoctor/

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