今年話題を呼んだ“甘く切ない”2作ーー映画#ララランドとムーンライト、前田敦子 × 沖田修一監督対談
沖田「きっと一人ひとりにものすごい緊張感が強いられているんだろうね」
――女優・監督目線で観劇しますか?
沖田:僕の場合は、いちお客さんとしてしか観ていないです。でも、『ラ・ラ・ランド』のオープニングなんかは、「ああ……これで映画1本撮れるんじゃない」と。
前田:(笑)。
沖田:監督業でなければ楽しむのみのシーンですから、そういう目線で観てはだめだと思いつつ。
前田:私、『ラ・ラ・ランド』はメイキングも観たんですが、監督曰く、プロデューサーがすごくいい人だったと。「本当は大きい声では言えないけど、お金と時間は気にしなくていい」とこっそり言ってくれたらしいんです。しかもフィルムですごく長回しじゃないですか。それでいていいシーンを絶対2つは抑えないと嫌だったそうで。
沖田:きっと一人ひとりにものすごい緊張感が強いられてるんだろうね。オープニングにしてもひとり落ちてしまったらNGなわけで。
前田:ねえ! 本当に大変ですよ。
沖田:前田さんは演者としてそういう気持ちになることは?
前田:ありますよね。長回しで何人かで喋って、最後にちょっとした台詞で自分が噛んじゃう。
沖田:ああ……(笑)。まあまあ、それが醍醐味でもある。
前田:ちなみに『ラ・ラ・ランド』の監督はだいたい5回以上撮ったそうですよ。演じる側もとってもハードなんでしょうけれど、それほどありがたいこともないなと思います。
沖田:なるほど。
前田:沖田監督も1回でOKってことはないですよね。
沖田:撮りたがりなので本当は何テイクも撮りたい。今のは上手くいったねという共感がみんなに生まれたテイクをOKにしたくて。
前田:長回しはやっぱり大変ですよね。
沖田:ね。長く回せばいいってことにはならないけれど、俳優さんが上手くいっていればそのままを撮るに越したことはないからね。『ムーンライト』にしても長いことぐるぐるとカメラの視点が回り続けていたから結構びっくりしたな。
前田「2回くらい集中して観た後、3回目も楽しめそうな映画は家に置いておきたい」
――映画館or自宅、どちらで観たい?
沖田:劇場と自宅では違うことに気づくことがあります。例えば『ラ・ラ・ランド』だと、踊っている最中にiPhoneの着信音が入ってくるシーンがあるんです。劇場ではなんとも思いませんでしたがDVDで観ると不思議な感覚でした。聞き覚えのある音がミュージカルの中にあるのは気持ちいいような悪いような新感覚で面白いなと。
前田:私は2回くらい集中して観た後、3回目にも雰囲気を楽しめる映画というのは絶対にお家に置いておきたい。と言いつつもいいと思った作品は全て買うタイプですよ。以前は観てない作品だけ買うようにしていましたが、そうすると既に観た好きな作品が家に揃わないことに気づきました(笑)。
沖田:わかる。覚えのない謎のDVDが部屋に並んでいたりするんだよね。僕も気に入ったものは手元に揃えたいです。でもこの2作のすごいところは、やはり欲しくなるところだね。
前田:そう。『ムーンライト』は深いから何度観ても気づきがありそうだし、『ラ・ラ・ランド』は流しておくにもいいし、どちらも欲しい。
沖田:買っただけで満足しちゃうこともあるけどね(笑)。
前田:ありますね、封を開けないままで(笑)。でも、いつか役立つコレクションに!
沖田:はい、前田さんの言う通り。映画って誰と観るかも重要ですし、突発的に「今、観たい」と思うことがありますからね。持っておいて損なしですね。
(取材・文=永井貴子/写真=鈴木新)
■リリース情報
『ラ・ラ・ランド』
ブルーレイ・DVD発売&TSUTAYA先行レンタル中
デジタル配信中
発売元:ギャガ
販売元:ポニーキャニオン
(c)2017 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.
公式サイト:http://gaga.ne.jp/lalaland/
『ムーンライト』
9月15日(金)ブルーレイ・DVD発売&TSUTAYAだけでレンタル開始
発売元:カルチュア・パブリッシャーズ
セル販売元:TCエンタテインメント
(c)2016 A24 Distribution, LLC
公式サイト:http://moonlight-movie.jp/