『ぼくらの勇気 未満都市』は“問題作”だった? 20年目の復活でどう評価されるか

 実際、視聴者から両作の設定の類似性を指摘する声が相次ぎ、途中から『ぼくらの勇気 未満都市』には「協力 永福一成、竹熊健太郎」というクレジットが入ることになった。今だったらネットで炎上して、 放送中止になっていたかもしれない。当時はネットでのアナウンスなどがなかったので、ことの経緯が視聴者にはわかりにくく、後味が悪かった。

 もちろんパクリ、パクられというのは映像作品においてはつきものだ。あまり大きな声では言えないが、最終的に本家よりも面白ければ100歩譲って認めていたと思う。しかし『未満都市』の場合、『チャイルド★プラネット』と較べると、描写がぬるくなっている場面が多く、逆に「ドラマではここまでが限界なのか」と、当時は思ってしまった。特にダメなのは、殺人ウィルスが冬の寒さに耐えられず死滅してしまったという展開だ。一番のテーマである「大人と子どもの戦い」も保留とされてしまう。どちらもご都合主義で白けてしまったのを憶えている。

 だが、「大人と子どもの戦い」というテーマを突き詰めることができなかったからこそ、20年後のSPドラマが実現したのかもしれない。大人に成長したヤマトたちが、どのようにして過去の自分たちと向き合うのか? 終わらせ方によっては、本作の評価もガラリと変わるかもしれないと期待している。

■成馬零一
76年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)がある。

■放送情報
『ぼくらの勇気 未満都市 2017』
7月21日(金)21:00〜、日本テレビ系にて放送
出演:堂本光一、堂本剛、相葉雅紀、松本潤、向井理、道枝駿佑、矢田亜希子、小原裕貴ほか
演出:堤幸彦
プロデュース:櫨山裕子
脚本:二木結希、小原信治
製作著作:日本テレビ
公式サイト:http://www.ntv.co.jp/mimancity/

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