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『たかが世界の終わり』グザヴィエ・ドラン インタビュー

グザヴィエ・ドランが語る、映画を撮る理由 「“いま”を生きるために“過去”を改革しようとしてる」

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「僕はこんなにも怒りや恨みつらみの感情に満ちた登場人物を扱ったことがありません」

 第69回カンヌ国際映画祭でグランプリに輝いた映画『たかが世界の終わり』。監督のグザヴィエ・ドランは、これまでのキャリアの中でも新しい発見の連続だったと、本作の制作を振り返る。

 本作は、『Mommy マミー』『わたしはロランス』などで、世界中から高い評価を受けるグザヴィエ・ドランの待望の新作。主演のギャスパー・ウリエルをはじめ、マリオン・コティヤール、レア・セドゥ、ヴァンサン・カッセルら、フランス映画界の実力派俳優をキャストに迎え、余命わずかな若手作家の苦悩とその家族の葛藤や愛を描き出す。

20170225−takagasekai-s1-th-th.jpgグザヴィエ・ドラン

 ドランは、魅力的な登場人物たちが制作のきっかけだったと説明する。

「原作を読んだときに、まず登場人物のキャラクターに魅力を感じました。内に秘めた暴力的な感情、外には出せない心の痛みです。僕はこんなにも怒りや恨みつらみの感情に満ちた登場人物を扱ったことがありません」

 さらに、その独特な個性を持つキャラクターが、制作現場の団結を促したと続ける。

「愛すべき人物とは言えない彼らを描くことは、僕にとっても役者たちにとっても挑戦でしたが、結果的に監督と俳優をひとつに束ねてくれましたね。人間を見出すこと、彼らの心にアクセスすること、そしてこの登場人物たちが、僕らに心を委ねてくれるまでの道のりを一緒に歩いた作業でした」

 親子や兄弟、恋人、友人とのミスコミュニケーションは、これまでのドラン作品も通じるテーマだ。ドランは、今回の撮影での新たな発見や過去作との共通点について、「映画の制作過程で多くのことを発見した。役者とは、映画製作とは、作曲とは、映画作りとは、いつだって、独自の学びだらけで、新しいことだらけで、すべてが経験に繋がる。ただ今回は新しいテーマは見つかってないんだ。親のこと、こどものこと、兄弟、姉妹、愛、なにを言っていても、僕がいつも表現しているのは、“子供時代に経験した人間の基礎”について」と説明する。

 そんな“子供時代”は、彼の作品にどんな影響を与えているのだろうか?

 「“チャイルドフッド=子供時代”は僕が映画を通していつも言いたいことだ。自分の子供時代や過ぎ去った日々の“匂い”や“音”、“手触り”をいつも映画の中に探してるんだ。僕はまだ27歳だけどすごく懐古主義的な人間なんだよ。だからといって、過去を生きているわけじゃないんだ。“いま”を生きるために“過去”を改革しようとしてる。世間の常識や、社会情勢、現代人としての価値、そういったものに、僕は生きる価値を見出してないんだ」

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 さらに、映画を制作する目的については、「ウブかもしれないけど、僕は過去に自分が感じたピース(平和)な時間で僕を動かしてきたものを、物語や映画を通して“いま”に再注入しようとしてるんだよ。自分が生きたい未来を創るためにね。例えばいままで見てきた空の色の中にあるかもしれない。小さい頃に育った海岸にあるビーチハウスに転がっているガラスの欠片の中にあるのかも。慈悲深いふたりの女性の友情の中にあるかもしれないし、もしかしたらどうやら僕らが失ったらしい、“希望を感じ取るセンス”の中に埋もれているのかも」と語った。

      

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