『A LIFE』真の主人公は浅野忠信だーーカリスマ性を封印、初めて見せる“無様”な演技

『A LIFE』真の主人公は浅野忠信だ

映画のなかの浅野忠信はどんな役に扮していても、どこか近づきがたいオーラを纏っていて、それが魅力でもあり独壇場でもあった。だが、ここでは俳優としての唯一無二のカリスマ性は封印し、壮大という惨めだが愛すべき男を、ある種の親近感さえ抱かせるタッチで体現している。この感触は回を重ねるごとに、どんどん膨らんでいる。

 沖田は、壇上虎之介(柄本明)を救うために帰国した。そして、いま深冬を救うために懸命になっている。だが、真の意味で壮大を救うことができるのも、沖田だけなのではないか。わたしは、このドラマを沖田が壮大を救う物語になることを期待して見つめている。

浅野忠信の芝居を見ていると、壮大は無意識のうちに、自分を救えるのは沖田しかいないと確信しているように思えてならない。どうすれば、壮大は救われるのか。そして、沖田はどうやって壮大を救うのか。

その心の「手術」にはたして方法はあるのか。そんなことを妄想しながら、後半戦に臨みたいと思っている。

I need you.どうか壮大の願いが沖田に届きますように。

■相田冬二
ライター/ノベライザー。雑誌『シネマスクエア』で『相田冬二のシネマリアージュ』を連載中。otocotoで『Invitation』の元編集長・小林淳一と「SMAPとは何だったのか」緊急対談掲載中。最新ノベライズは『嘘の戦争』(角川文庫、3月10日発売)。

■放送情報
日曜劇場『A LIFE〜愛しき人〜』
毎週日曜よる9時〜9時54分
出演:木村拓哉、竹内結子、松山ケンイチ、木村文乃、菜々緒、及川光博、浅野忠信ほか
(c)TBS
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/ALIFE/

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