『A LIFE』木村拓哉、“受け”の演技で新境地 相田冬二がドクター役を読み解く

木村拓哉が『A LIFE』で見せる新境地

 相田氏は今作に似ているドラマとして意外なドラマの名前を挙げた。

「スーパードクターが現れたことによって、病院の問題点が明らかになったり、人間関係が改善されたり……というのが病院ものドラマの定番のストーリーでした。『A LIFE』もその枠組みはとっているんですが、オーソドックスな物語とは微妙に異なる不思議な違和感がある。本作にはある種の密閉感というか圧迫感があるんです。なぜそう感じたかというと、「病院の中」でしか物語が展開しないからです。「屋外」がほとんど出てこない。そこから感じたのは、このドラマは“幽閉”された人々の話なのじゃないかと。登場人物全員が、病院、医療という行為、自分自身の過去といった何かに囚われている。救出にやって来たはずの沖田もまた閉じ込められた存在に映ります。これがルールと言わんばかりに、毎話、屋上から病院を捉えた俯瞰ショットが映し出されますが、彼らがこの場所に閉じ込められている象徴のよう思えました。壮大の副院長室にある水槽にも同じことが言えるでしょう。そういった意味では、1967年に放映されたイギリスのカルトドラマ『プリズナーNo.6』をふと思い浮かべました。とある村に幽閉された主人公「ナンバー6」が、村のリーダー「ナンバー2」とやり合いながらどうやって脱出するかという話。『A LIFE』は、サスペンスドラマではありませんし、演出もストーリーもまったく違います。しかし、囚われた心は、はたして解放されるのかどうか。このポイントは共通しています。今後、沖田、深冬、壮大、彼らがどんな結末に向かうのか非常に楽しみです」

 相田氏が語るようにドラマに内包されたテーマを読み解いていくのも楽しみ方のひとつ。これまでの医療ドラマとは一線を画す『A LIFE』の後半は、どんな展開が待ち受けているのだろうか。

(文=石井達也)

■放送情報
日曜劇場『A LIFE〜愛しき人〜』
毎週日曜よる9時〜9時54分
出演:木村拓哉、竹内結子、松山ケンイチ、木村文乃、菜々緒、及川光博、浅野忠信ほか
(c)TBS
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/ALIFE/

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