高畑充希、波瑠、山本美月、前田敦子……“91年生まれ”は最強の世代だ!
以前“黄金世代”と称して紹介した88年世代の女優たちが共演している『東京タラレバ娘』(日本テレビ系)にどうしても目がいってしまう今期のドラマだが、全体を見渡してみると、91年世代の女優の活躍が目に留まる。20代のちょうど中盤に差し掛かり、実年齢と同じぐらいのキャラクターはもちろんのこと、見せ方次第では高校生から実年齢以上の役柄まで、幅広く演じられる世代なのだ。
まずこの世代を語る上では、NHKの朝の連続テレビ小説には触れずにはいられない。6年前に放送された『てっぱん』で大抜擢された瀧本美織を皮切りに、前期の『とと姉ちゃん』の高畑充希、その前の『あさが来た』の波瑠と二期続けてヒロインを演じているのだ。学年的にはひとつ上の世代になってしまうが、91年早生まれも含めるとするならば、現在放送中の『べっぴんさん』で、主人公の姉・ゆりを演じている蓮佛美沙子もこの世代なのである。
長い時代を同じ役者が演じる一代記であった『とと姉ちゃん』、『あさが来た』、そして『べっぴんさん』に相次いでこの世代が選ばれるのは、やはり前述した通り演じられる世代の幅が最も柔軟であることがひとつの要因なのだろう。10年前に主演した映画『転校生 -さよなら あなた-』で巨匠・大林宣彦から認められた当時15歳の蓮佛が、30代後半の落ち着き払った女性を演じているのを見ると、今後の女優としての可能性を確かめるための大きなターニングポイントとなる時期であると感じられる。
対照的に、現在火曜22時にフジテレビ系列で放送されている『嘘の戦争』でヒロイン格を務める山本美月は、“実年齢≧演じるキャラクター”のタイプだ。「CanCam」の専属モデルとして活躍する傍ら、二十歳を過ぎてから女優業をスタート。映画デビュー作となった『桐島、部活やめるってよ』や、昨年の『少女』など、いまだに違和感なく女子高生を演じることができる彼女は、女子高生としては大人びているが、大人を演じるにはまだ貫禄が足りていないといったところか。
数年前までは使いづらいと思われていたこのタイプの女優も、最近の映画のターゲット層を考えると最も適しているといえよう。今年の夏に山本が主演を務める映画『ピーチガール』はまさにそれで、劇中の登場人物と同世代からは憧れのお姉さんであり、大ブームとなった原作を読んでいた世代にもギリギリ届くというわけだ。
モデルと女優を掛け持ちしているといえば、深夜枠ながら話題沸騰の『クズの本懐』(フジテレビ系)に出演中の逢沢りなだ。『炎神戦隊ゴーオンジャー』(テレビ朝日系)のゴーオンイエローでデビューした彼女は、一昨年から昨年にかけて放送された東海テレビ制作の昼ドラ『新・牡丹と薔薇』で、かつて小沢真珠が演じたパンチの強い役柄を蘇らせ、大きな話題となった。そして、今回の『クズの本懐』では、さらにイメージを覆す悪女ぶりを披露。ネット上では放送の度に注目が集まっていることは言うまでもない。
VIVIの専属モデルの河北麻友子は、昨年ドラマと映画の両方で『白鳥麗子でございます!』で主人公・白鳥麗子を演じた。これまで鈴木保奈美、松雪泰子が演じてきたキャラクターを、バラエティ番組などで見せるイメージ通りに演じるとともに、喜劇のセンスがあることも見せつけた。また、MOREの専属モデルである内田理央はフジテレビ系列のドラマ『大貧乏』に出演中。『仮面ライダードライブ』(テレビ朝日系)でのヒロイン像も記憶に新しい彼女は、今回のドラマでは小雪演じるゆず子の友人で、元ヤンという設定で明るく溌剌としたイメージに磨きをかける。
その内田も出演していた『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)で、森山みくりの親友で元ヤンの安恵を演じた真野恵里菜もこの世代。かつてはハロー!プロジェクトのメンバーとしての人気アイドルだった彼女も、今ではすっかり女優としての道を歩き始めている。現在公開中の映画『君と100回目の恋』では劇中のバンドのマネージャー役を好演。今後もっとも期待が持てる女優のひとりなのだ。