『三匹のおっさん』は現代に甦った勧善懲悪ドラマだ! 変わらぬ魅力と人気の理由

みたび集結した『三匹のおっさん』の魅力

 人気シリーズ『三匹のおっさん』の待望となる第3弾『三匹のおっさん3~正義の味方、みたび!!~』(テレビ東京系)が、1月20日より放送開始した。2014年に第1シリーズが放送され、テレビ東京のドラマとして異例の平均視聴率10%越えを成し遂げた『三匹のおっさん』。続く2015年の第2シリーズも話題となり、もはや老若男女が楽しめる国民的ドラマとなった。

 現時点で第3シリーズは初回の放送のみだが、すでに安定の面白さを見せている。そこで今回、改めて『三匹のおっさん』の魅力と、新シリーズの面白さ、これまでのシリーズとの違いなどを考察してみたい。

現代に甦った勧善懲悪もの

 別册文藝春秋で連載された有川浩による同名小説を基にドラマ化した『三匹のおっさん』。子供の頃“三匹の悪ガキ”と呼ばれていた3人が、還暦を期に夜回り自警団“三匹のおっさん”として、夜な夜な町内で起きるトラブルを解決(最後は力づくで成敗)していく話だ。

 剣道の達人・キヨこと清田清一(北大路欣也)は、定年退職後ゲームセンターの委託社員として働きながら自宅敷地内道場で剣道を教えているリーダー的存在。柔道の達人シゲこと立花重雄(泉谷しげる)は、経営していた居酒屋を息子に譲り店の手伝いをしている。口が汚く下町の頑固オヤジタイプだが頼れる武闘派。ノリこと有村則夫(志賀廣太郎)は町工場の有村電業を経営している。ほかの2人のように武道の達人ではないが機械に強く、スタンガンなどの様々な武器で敵を懲らしめる、メカ担当の参謀役だ。

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 このドラマが人気となった理由は、勧善懲悪をテーマにしたわかりやすい展開だからではないだろうか。いわゆる『水戸黄門』や『遠山の金さん』など、かつてあったヒーロー性のある痛快時代劇ものでよく見られた展開だ。悪役によって町民たちが危機に迫られ、絶対的正義の味方が悪を成敗する。そのベタなルーティーンのわかりやすさがいいのだ。

 時代劇ドラマが少なくなってしまった昨今、「待ってましたー!」とテレビの前で叫びたくなるような展開を、現代劇の娯楽作品として甦らせたのが『三匹のおっさん』。実際、タイトルは時代劇『三匹が斬る!』(テレビ朝日系)からインスパイアされたものだ。

 また勧善懲悪ものは、老若男女関係なく家族そろって安心して見られるコンテンツ。高齢化社会になっているにも関わらず、ご高齢の方が気楽に楽しめる王道ドラマが少ないように思う。自分よりも遥かに若い世代の恋愛劇や刑事物は、やはりどこか感情移入がしにくいのではないだろうか。

 その点『三匹のおっさん』は、60歳以上のおじさんたちが主人公であり、彼らが活躍している。同世代や自分よりも上の世代が頑張っている姿に時に励まされ、時に応援したくなるのではないだろうか。また、おじさんたちのハチャメチャな言動がツッコミどころ満載で、若い世代にとっても楽しめる作品となっているのもポイントだ。

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