『三匹のおっさん』は現代に甦った勧善懲悪ドラマだ! 変わらぬ魅力と人気の理由

みたび集結した『三匹のおっさん』の魅力

 犯罪の内容も、万引き集団やお年寄りを狙った健康食品の悪徳詐欺、ゴミの不法投棄やご当地アイドル詐欺など、身近な事件や時事ネタを混ぜたものが目立つ。特に好感を持てるのが、懲らしめられた犯罪者が後を引かないこと。実際なら、悪者を懲らしめた後は復讐を恐れるものだが、このドラマではおっさんたちの成敗と説教でみんな素直に観念してまう。だから、視聴者も嫌な気持ちは芽生えず、スッキリできる。そこがまた爽快なのだ。

 犯罪の解決だけでなく、コメディパートとして、二世帯住宅で暮らす嫁姑のやりとりや、最初は祖父を否定していた孫が、次第に祖父のかっこいい姿に気づき、共感して協力していく様なども描かれている。若者に対する高齢者の意見を一方的に浴びせるわけではなく、若者の見解もしっかり取り入れたWin-Winな関係に持っていく。そういった家庭の暖かい日常風景を面白く物語に溶け込ませているのもまた、同ドラマを家族で楽しめる要因となっているに違いない。

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 そして、北大路欣也、泉谷しげる、志賀廣太郎の役者としての安心感。北大路欣也と言えば、東映の2世俳優として松方弘樹とライバル関係にあった昭和の時代劇スターの1人である。最近はソフトバンクのCMで面白いことをやっているが、基本は硬派。そんな大スターが「じいさん」や「おっさん」と呼ばれ、ゲームセンターで働く姿などそれだけでも感慨深いものがある。加えて、そんな北大路の姿が『水戸黄門』や『遠山の金さん』と重なるのだ。まるで、身分を隠し庶民に成り済ましているかのように見える。そこもまた時代劇っぽくて面白い。北大路の凛々しさは73歳である今もなお健在で、何をしていても貫禄ある姿は実にかっこいい。

 泉谷はいつもの泉谷しげるのままのキャラで面白く、特に良いのが 志賀廣太郎。名バイプレイヤーとして知られる彼だが、同ドラマでは主演の一人として活躍している。ビジュアル的におじさんという役柄がぴったりなのだが、声がとても良いので品がある雰囲気を醸しだす。そんな志賀が良い声で「則夫エレクトリカルアタック!」とスタンガンを振り回す姿だけでも笑いが止まらない。犯罪や戦闘シーンをシリアスにしすぎないように絶妙なバランスで保つ重要なポジションとも言える。そしてこの3人の俳優としての嫌味のなさが、同ドラマの一番の魅力なのかも知れない。

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新シリーズで変わったこと

 さて、新シリーズ『三匹のおっさん3~正義の味方、みたび!!~』だが、今までのシリーズと基本的に何も変わっていない。しかし、それこそがこのドラマの一番の魅力ではないだろうか。シリーズものとなると、制作者は何か付け加えたがるものだが、このような作品ではできる限りオリジナルメンバーで続けてもらうのがファンにとって嬉しいところ。特にこのドラマのヒロイン的存在であるノリの娘・早苗役の三根梓が、新シリーズでも変わらぬ可愛らしさでドラマに花を添えていて一安心である。しかも相変わらずの清純さだけでなく、女性的な魅力がグッと増している。第1シリーズは高校生役だったのが今回は20歳の大学生となっていて、キヨの孫である祐希(大野拓朗)との恋愛関係がどうなっていくのか気になるところ。

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 内容としては、外国人を相手にした民泊詐欺という時事ネタを中心に、『YOUは何しに日本へ?』(テレビ東京系)を取り入れたり、おじさんたちがピコ太郎のPPAPネタをやったりと、今時のベタな内容を盛り込んでくるのも『三匹のおっさん』らしい。また父親を捜しにきたシャーロット・ケイト・フォックスが、父の手がかりとして若い時の写真をみんなに見せるシーンがあるのだが、これがどう見てもこの回に登場している写真館の店主である長谷川初範なのだ。だが、誰も全く気づかず、しかもその写真を何度も視聴者に見せるサービスっぷり。このツッコミどころ満載の分かりやすさもこのドラマの魅力である。

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