『ルパン三世 カリオストロの城』はMX4Dでどう生まれ変わった? アニメと体感型映画の相性を考察

『ルパン三世』に見る、MX4Dの可能性

 もう少し具体的に書くと、2000年代以降の、画面の情報量が多く、アクションもしくはライブシーンが軸になりうる作品をMX4Dの演出を見越して再編集すれば、MX4Dの魅力がもっと伝わるのではないだろうか。そして幸いにも、これをを満たす要素のある作品は今のアニメにはそれなりの数存在する。そこにこれからの可能性があるはずだ。

 2016年は応援上演も含めて、アニメ映画の「ライブ化」がぐっと日常化した年だった。この潮流はしばらく続くだろう。その一翼をMX4Dを含む体感型映画も担うのは間違いない。そうなるためには、演出と作品の相性がもっと吟味される必要はあるだろう。

 ちなみに大画面で見た『カリオストロの城』は、MX4Dかどうかにかかわらず、最高におもしろかった。

■藤津亮太
1968年生まれ。アニメ評論家。著書に『「アニメ評論家」宣言』(扶桑社)、『チャンネルはいつもアニメ』(NTT出版)、『声優語』(一迅社)がある。アニメ!アニメ!にてアニメ時評「アニメの門V」を連載中。titterID:@fujitsuryota

■公開情報
『ルパン三世 カリオストロの城(MX4D版)』
公開中
声の出演:山田康雄(ルパン三世)、増山江威子(峰不二子)、小林清志(次元大介)、井上真樹夫(石川五ェ門)、納谷悟朗(銭形警部)、島本須美(クラリス)、石田太郎(カリオストロ伯爵)ほか
原作:モンキー・パンチ
監督:宮崎駿
脚本:宮崎駿、山崎晴哉
作画監督:大塚康生
音楽:大野雄二
美術:小林七郎
製作・著作:トムス・エンタテインメント
(c)TMS
※宮崎駿の“崎”は旧字

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