『地味スゴ!』石原さとみを支える“打率10割”の脇役コンビ 江口のりこと和田正人の演技がスゴイ!

 江口のりこと和田正人の共通点は、「強烈なキャラでも抑えた演技ができる」こと。2人の演技には、むやみやたらな誇張も、感情の押しつけがましさもない。つまり、ウソのない自然体の芝居ができるから、視聴者はそのキャラを信用して、物語に没頭できるのだ。それは2人が、あくまで脇役として陰となり、ヒロインに光を当てているからだろう。

 そもそも、りおんと米岡は、演技のさじ加減を間違えると、視聴者から愛されないキャラと言える。たとえば、破天荒なヒロイン・悦子を冷ややかな目で見たり、そっけない態度を取ったりしていたら、「ヒロインも、りおんと米岡も視聴者から愛されない」という悲しい状態に陥るリスクがあった。

 しかし2人は、“先輩校閲者”としての立場から“新人の校閲ガール・河野悦子”を淡々と見つめている。そこには「校閲という仕事に誇りを持っている」という鼻息の荒さはなく、「ただ校閲の仕事が好き」という脱力した姿があるだけ。だから、「間違いだらけだが、校閲の仕事にまっすぐな悦子を尊重できる」上に、「困っていたらごく自然に助けられる」し、そんなやり取りを見た視聴者はホッとさせられるのだろう。

 ヒロインの脇にそっと佇んで、物語を引き締め、ゆるめる、りおんと米岡。その存在が、連ドラとしての品質を担保しているのは間違いないが、この数年間、脇役として「凡打なしの打率10割」だった江口のりこと和田正人の活躍を考えると、当然のような気もする。

■木村隆志
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。雑誌やウェブに月間約20本のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などに出演。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもある。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、ドラマも毎クール全作品を視聴。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。

■番組情報
『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』
日本テレビ他 毎週水曜夜10時放送
出演:石原さとみ、菅田将暉、本田翼、和田正人、江口のりこ、田口浩正、足立梨花、伊勢佳世、曽田茉莉江、松川尚瑠輝、杉野遥亮、ミスターちん、長江英和、店長松本、麻生かほ里、高橋修、鹿賀丈史(特別出演)、芳本美代子、青木崇高、岸谷五朗
原作:宮木あや子「校閲ガール」シリーズ(KADOKAWA・角川文庫)
脚本:中谷まゆみ、川﨑いづみ
演出:佐藤東弥、小室直子ほか
制作協力:光和インターナショナル 製作著作:日本テレビ
公式サイト:http://www.ntv.co.jp/jimisugo/

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