まさに歩く治外法権!? 『ジョン・ウィック』が描く“顔パス・アクション”の痛快さ

歩く治外法権『ジョン・ウィック』の凄さ

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 そして、そんな悪人が蠢く裏の社会において、ジョン・ウィックの名前は絶対なのだ。彼が名前を出しただけで、悪の親玉であるロシアンマフィアのボスは恐怖する。さらに裏の社会の様々な人間たちが「ジョン・ウィック」というだけで協力してくれる。まさに歩く治外法権。普通の映画なら厄介なしがらみとなるであろうことが、「ジョン・ウィックである」というだけで、すべて解決していく。いわば顔パス・アクションだ。壮絶な銃撃アクションも魅力的だが、この顔パス・アクションの痛快さも、本作の大きな魅力の一つだと言えるだろう。

 本作を観終わった後、きっと自分まで強くなった気になるはずだ。そして、街中の何気ない風景が「あのホテルは、実は犯罪組織の建物かも?」「あそこのおじさんは殺し屋かも?」と思えてくるだろう。そんな夢を見せてくれる映画である。本作は、優れたアクション映画であると同時に、血と硝煙にまみれたファンタジー映画の快作だ。

■加藤ヨシキ
ライター。1986年生まれ。暴力的な映画が主な守備範囲です。
『別冊映画秘宝 90年代狂い咲きVシネマ地獄』に記事を数本書いています。

■公開情報
『ジョン・ウィック』(原題:JOHN WICK)
TOHOシネマズ新宿ほか全国公開中
出演:キアヌ・リーブス、ウィレム・デフォー、イアン・マクシェーン
監督:チャド・スタエルスキ
製作:デヴィッド・リーチ
スタントコーディネーター/第二班監督:ダリン・プレスコット
公式サイト: johnwick.jp
Motion Picture Artwork(C)2015 Summit Entertainment, LLC. All Rights
Reserved.(C)David Lee
配給:ポニーキャニオン R15+

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