『ヒカルの碁』マイナーな囲碁を題材に大ヒットした理由は? 初心者目線 × ジャンプ的王道ストーリーの妙

累計発行部数2500万部を超える大ヒット作品『ヒカルの碁』(原作:ほったゆみ・漫画:小畑健/集英社)。1998年から2003年に「週刊少年ジャンプ」で連載され、TVアニメなどもあり社会現象的なブームとなった本作の原画展が来月7月の東京を皮切りに大阪、京都で開催される。
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空前の囲碁ブームを巻き起こした「ヒカルの碁」
原画展が開催決定!
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— 【公式】ヒカルの碁 │ 原画展 (@hikarunogo_ex) April 25, 2025
空前の囲碁ブームを巻き起こした本作。将棋ほど一般にルールを知られていなかった囲碁を題材にした作品がなぜここまで長く愛される作品になったのか。改めてヒットの要因を考察する。
徹底された初心者目線
本作の魅力の一端はなんと言っても、主人公ヒカルと藤原佐為との掛け合いだが、同時に本作は囲碁初心者でも読みやすいことがヒットの一因だろう。
平安時代、天才棋士でありながら対局相手に不正の罪をなすりつけられ、棋士の立場を終われて入水自殺した藤原佐為。その後、囲碁への執念から幽霊となった彼が取り憑いたのが、運動が得意な普通の男の子・ヒカルだ。
佐為は登場時から囲碁を打つようヒカルに懇願し、彼が興味を持っていないとわかるやいなや身体に不調を起こさせる強硬手段に出たりと、かなり積極的にアプローチをする。対するヒカルは、根負けして囲碁を打つようになるも当初まったく興味がなく、佐為の指示通りに碁石を置くことにすらもたつく始末。囲碁好きの祖父を呆れさせ、子ども向けの大会を見学した際も問題を起こして会場から追い出されてしまう。
囲碁初心者のヒカルが佐為を先生とし、囲碁の打ち方を学びその面白さや奥深さにハマって試合を重ね、最終的にはプロ棋士としての道を歩んでいく、それが『ヒカルの碁』という作品なのだ。
将棋はTVなどでタイトル戦が大きく取り上げられたり、羽生善治や藤井聡太をはじめ有名棋士も多い。『月下の棋士』(能條純一/小学館)や『3月のライオン』(羽海野チカ/白泉社)など、題材としたヒット漫画も思い浮かぶだろう。
『ヒカルの碁』は、知識ゼロの素人であるヒカルが、囲碁のルールや専門用語を学びながら強くなっていく構図だ。対局相手やギャラリーが、碁盤上の戦略や定石を解説するなど、「初心者目線」が徹底されていることで読者も囲碁の世界に触れやすくなっている。