「30年で2倍になったか」ジャンプ編集部が最低原稿料の増額発表 他誌の連載作家も「歓迎」の理由とは?
漫画界の働き方改革は加速するか
これまで、漫画家の原稿料はヴェールに包まれていることが多かった。アシスタントが師匠の漫画家に聞いても、教えてもらえないことは珍しくないほどであった。それは、同じ雑誌に載っている漫画家同士でも、ベテランと新人では原稿料に極端な差があるケースがごく普通に見られるためだ。
ただし、ベテランであっても、使いにくい作家だと思われたくないという理由で、原稿料をあえて低く抑えているケースもあるという。そのため、ベテラン=原稿料が高い、という法則は必ずしも当てはまらないことが多い。
このように、原稿料の金額は千差万別なのである。そのうえ、ネットには断片的な情報しか転がっていなかったこともあり、漫画家志望者は「漫画家になったらいくら貰えるんだろう」と不安になることも多かったと思われる。
昨今の集英社の取り組みは、謎に包まれていた原稿料をオープンにすることで、広く優秀な漫画家を集めたいという狙いがあると思われる。漫画はWEBコミックの広がりで競争が激化しているため、他社も集英社に続けと原稿料を発表し出し、原稿料アップを図る可能性が高い。他の雑誌で連載をもつ漫画家からも、歓迎のコメントが多いのはそのためだ。
漫画界では、従来は連載を休むなどもってのほかという風潮があったが、近年は定期的に漫画家に休んでもらい、リフレッシュしてもらおうという動きもある。原稿料をオープンにすることも、漫画界の働き方改革の一環といえるかもしれない。