【漫画】友達に名前で呼ばれたくない女子高生、その理由は? 思春期特有の感情を表現したSNS漫画に共感

ーー本作を創作したきっかけを教えてください。

ナカマチ:「名前を呼ぶこと」は親しさや関係性を測る指標になると思います。作中に登場する2人が仲良くなっていく過程を描きたいと思ったなか、呼び方の変化が関係の変化に繋がると思い「名前を呼ぶこと」を題材にした本作を創作しました。

ーー幼いころは○○くんと名前で呼ぶことが多く、社会人になると苗字で呼び合うことが多くなるなか、名前を呼ぶことに葛藤する姿は思春期ならではのものだと感じました。

ナカマチ:友だち同士の濃い関係は若いときにこそ築きやすいと思います。大人になると人間関係の上手な築き方がわかってきてしまい、表面的な付き合いも多くなってしまうでしょう。そのため思春期特有の空気や感情を表現したいと思いながら「名前を呼ぶこと」を題材にした本作を描いていました。

ーー印象に残っているシーンは?

ナカマチ:自分が読者として本作を見た際に印象には、クライマックスの「いいよ/名前で呼んでも」と言うシーンです。2人の関係が変わる瞬間であり、1番描きたかったシーンでもあるからです。

 また描いていて楽しかったのは、おばあちゃんの姿です。漫画を描くなかお年寄りのキャラクターを描く機会は少ないのですが、シワが刻まれていたりなど若者とは見た目が異なるので、いつも描くキャラクターとは違った楽しさがありました。一般的にシワが少ない方が美しいと言われることが多いですが、実際に描くなかでお年寄りの魅力に気づくこともあり、より楽しさを感じます。

ーーおでんや「あきら」は実在する場所?

ナカマチ:おでんや「あきら」は架空のお店ですが、本作の舞台は北海道小樽市にある花園高架下商店街をモデルにしています。昭和40年に開業した商店街ですが、令和5年に解体されました。

 小樽市は古い建物が多いことが魅力だと感じているのですが、現在は商店街はじめ古くから残るものがどんどんなくなっています。もちろん、さまざまな事情により仕方のないことだと感じており、自分が解体を止めることはできません。だからこそ、なくなっていく場所を漫画で残すことができたらと思い、解体工事の前から本作を描きはじめました。

ーー実在する場所を舞台に漫画を描くなかで得られる感情は?

ナカマチ:漫画で描いた場所はより一層、親しみを感じるようになります。漫画で景色を描くためには、その景色の細かいところまで見る必要があるので。漫画の舞台になった場所を再び訪れると、目にする景色の解像度がとても高いものになります。

ーー漫画、絵を描く人だからこその感情・感覚だと感じます。

ナカマチ:景色以外にも、たとえば誰かの似顔絵を描くときにも似た感覚を得られると思います。似顔絵を描くために顔をよく見てみると「目が離れている」とか「耳の位置はここなんだ」と気づくことができ、似顔絵を描くことでその人の解像度が高まると感じますね。

ーー本作はシリーズ作品の1話であり、他のエピソ-ドでも星井さん、直山さん、呉くんの3人が中心人物として描かれています。3人を描くなかで意識していることは。

ナカマチ:3人はなんとなくの性格だけ決まっていて、各話のストーリーを決めたあとに3人ならどう動くかと考えながら描いています。

 個人的に呉くんはかなり気に入っているキャラクターです。彼は脇役ではありますが、直山さんとともに星井さんのことが好きな人物でもあります。ときに呉くんは直山さんとライバル関係になりつつ、ときに直山さんのことを助けてくれる一面もあるので好きだなと思います。

 ちなみに3人の名前は、実在する宇宙飛行士の名前をモチーフにしています。

ーー今後も目標を教えてください。

ナカマチ:このシリーズ作品の今後は決まっていませんが、漫画を描いていくなかで作風の幅を広げていきたいです。現在は現実を題材にした作品ばかり描いていますが、読者層も限られてしまうと思うので、ほかのジャンルの漫画にもチャレンジしていきたいと思います。

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