【漫画】山で遭難した幼馴染の男女、迎えた結末は……SNS漫画『餅田さんを食べたい』の愛が重すぎる

【漫画】『餅田さんを食べたい』

モテる友人への挑戦状

――今回『餅田さんを食べたい』を制作した理由を教えてください。

純聖:実は本作は疎遠になってしまった友人に宛てた“手紙”として描きました。彼はすごくモテる男で、高校生の時から女遊びをしまくっていて、付き合っている彼女との愛を語られることが多かったです。ただ、どうも彼が口にする愛が薄っぺらく、「愛って何なんだろう」と考えていました。

――「愛って何なんだろう」という疑問から生まれた作品だと。

純聖:はい。そして答えが出た末に生み出された作品が、この『餅田さんを食べたい』でした。手紙というより、僕なりの彼への挑戦状だったのかもしれません。「お前にこの作品の愛が見えるかな?」という。

――愛を表現するために“山の洞窟に閉じ込められる”というシチュエーションを選んだ理由は?

純聖:永瀬と餅田の人間としての深い部分を「どうしたら引き出せるか?」と逆算した結果、このシチュエーションになりました。とにかく永瀬の心を折らせたかったので。

――永瀬と餅田の性格やビジュアルはどのように決めていきましたか?

純聖:永瀬はまさに先程も話した疎遠になった友達がモデルになってます。性格はオリジナルですが、見た目に関しては当時の彼にかなり寄せました。餅田は僕が付き合いたい理想の彼女を具現化した存在です。描いていてしんどい作品になるのはわかってたので、「描きたい」と思えるキャラクターを生み出そうとした結果です。

――ラストの永瀬の片目が変化していましたね。

純聖:道徳的に「餅田を食べた=人間を辞めた」と考えています。だから、罰というか、呪いというか、とにかく一種のペナルティとしてあの片目にしました。また、漫画のキャラクターの目は読者が注目するポイントですので、「そこを変化させたら考察するフックになってくれるかな?」というアイディアでした。

後半から一気にダークな展開に

――序盤はポップで、徐々にダークな様相を帯びていく展開でした。

純聖:やはり後半がかなり辛い内容になっているので、前半でいかにキャラクターの表面的な部分を引き出し、いかに「楽しい話だよ!」とカモフラージュさせられるかに気を使いました。ポップさ4、ダークさ6くらいの割合で作れば、適度にダークさを引き立てつつ、見やすくなるかなあと思ってストーリーを考えていました。結果的にはポップさ3、ダークさ7くらいになってしまったかもしれません。

――極限状態に追い込まれた時の永瀬の心理状況に、どのように思いを馳せて彼の言動を考えましたか?

純聖:僕の経験を脳みそフル回転で思い出し、それに近い経験を引っ張り出し、自分自身で追体験することにより、永瀬の心理状態に極力近くなるように努めました。ただ、生死の境が見えるまでの極限に出くわした経験はなく、災害時に生還した人のインタビュー記事などを調べ、その人たちの当時の心理を参考にさせていただいたりもしました。

――いろいろ試行錯誤したのですね。

純聖:そうですね。永瀬は主人公ということもあり、読者が一番感情移入するキャラクターだと思います。言動のリアリティにはかなり気を使いました。何度もセリフを声に出して読んだりもして、その度に心理状態とセリフが矛盾してないかなども常に注意しました。言動を決めることは作画よりも時間がかかったかもしれません。

――最後に純聖さんの今後の目標など教えてください。

純聖:担当編集さんとやり取りしながら、誌面掲載を目指して作品制作をしています。現在も新作を描いており、また完成したらXに掲載する予定です。『餅田さんを食べたい』よりも何倍も成長して、みんなが見て「楽しい」「面白い」と思ってもらえる作品に仕上がると思います。僕のXをフォローして楽しみに待ってもらえると嬉しいです。僕が有名漫画家になった時、ぜひとも古参ぶって下さい(笑)。また、同人即売会のようなイベントにも出る予定ですので、出展する際には遊びに来ていただけましたら飛んで喜びます。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる