【漫画】しっかり者でお母さんみたいな女子高生が抱く“本音”はーー中国出身の作者が描いたSNS漫画が尊い

ーー創作のきっかけを教えてください。

_りくし_:本作は大学院に進学するために制作した作品です。当時考えていた研究テーマは「生まれ育った家庭が子どもの性格に対する影響」でした。瑞希はこのテーマをもとに考えた人物です。瑞希のキャラクターから作品のストーリーをつくり始めました。

ーー本作を描くなかで印象に残っているシーンは?

_りくし_:本作の冒頭、理奈が学園祭のことを思い出すシーンです。当初は文字だけで表現したいと思っていましたが、大学の先生は「文字ではなく画で表現した方がいいんじゃない?」とご意見くださり……。正直、そのときの私は納得できませんでした。

 ただ悩んでいるときにちょうど好きな漫画の最新話が更新され、その中に主人公の回想シーンがありました。その作品では文字ではなく画で表現していて。そんな出来事もあり、最終的には理奈の思い出を画で表現しました。

ーー各ページの描写がとても繊細だと感じました。

_りくし_:読んでいる漫画はあまり多くありませんが、画が綺麗な漫画ばかり読み続けています。そんな背景から審美眼が養われたのかもしれません。

 また大学で受ける絵の勉強とともにオンラインの塾にも参加していました。コロナ禍のときは睡眠以外の時間を漫画の練習をしていたため画が上達しました。

ーー作中ではたびたびコップを映したコマが描かれていました。

_りくし_:コップを渡すコマは理奈の気持ちが瑞希に渡り、受け入れられたという意味を含んでいます。水位の異なる2つのコップは性格が違う二人を表現しました。

 また冒頭で二人は面と向かって座っていますが、最後は横に並んで座っています。座る位置の変化から、二人の心の距離が変化したことを表現しました。

ーー漫画を描きはじめたきっかけを教えてください。

_りくし_:小学生のころから日本のアニメを見始めました。そのとき多くのアニメは原作の漫画が社会に認められてこそ、アニメになれることを知りました。社会に認められる、アニメになる作品を描く漫画家はすごいと感じ、私もすごい人になりたいと思いました。

 それから絵の練習をしたり、アニメや漫画のことをだんだん知りつつ、大学進学のための絵の塾へ通い始めた高校二年の時に漫画を描き始めました。

ーー_りくし_さんが影響を受けた漫画作品は?

_りくし_:中学生のころは新川直司先生の『四月は君の嘘』、やまもり三香先生の『ひるなかの流星』が好きでした。高校生になると白浜鴎先生の『とんがり帽子のアトリエ』を読み、画の繊細さに驚きました。大学生になってからはあだちとか先生の『ノラガミ』と甘井最鹿先生の『瑛』を読み、最近では楝蛙先生の短編漫画や春泥先生の『ガンベレ!中村くん!!』が好きです。

ーー日本で漫画を描き続ける理由は?

_りくし_:私にとって漫画はそれぞれのページが人、背景、吹き出し、絵文字、フレームの組み合わさった、1つのイラストだと感じています。

 どのように漫画の要素を配置することでイラストとしての美しさを保ちつつ、物語としてスムーズにストーリーを述べられるかという点は、今の私にはとてもむずかしいことです。このような漫画の形は日本で勉強することで身に付けられると思うので、日本語で漫画を描き続けています。

ーー今後の目標を教えてください。

_りくし_:好きな漫画家のアシスタントになることです。最近はデジタルツールを用いて漫画を描くことが主流になっていますが、今も紙とペンで漫画を描いている作家さんたちをとても尊敬しています。アシスタントになることを目指し、去年から手描き風のイラストも試しています(笑)。

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