「おでんの過去編は最高」「ゾロとヤマトの設定が……」『ONE PIECE』ワノ国編、賛否両論を考察

『ONE PIECE』ワノ国編を考察

 四皇のカイドウとビッグ・マムを倒して終幕した『ONE PIECE』ワノ国編だが、ネット上では不評の声が相次いでいる。要因として休載や合併号をはさんでの長大なエピソードになったことや、侍が登場する舞台でありながらゾロの設定が活かされていないことが挙げられた。その一方でロジャーの伝説の冒険やルフィがギア5に至るなど重要な展開もみられ、光月おでんをめぐる過去編に人気があったりと賛否両論の声があるようだ。

ゾロが活かしきれなかった?

  ワノ国編は『ONE PIECE』最大のエピソードとなっている。「週刊少年ジャンプ」では2018年7月の掲載から2022年8月22日までと、なんと4年にわたる連載期間となった。単行本でカウントするとワノ国編は90~105巻で16巻も続いた長編だ。また終幕直前に4週間の休載期間もあったことも読者をヤキモキさせたのかもしれない。

  またワノ国編は侍が登場する舞台であることから、ゾロの活躍が期待されていた模様。ネット上では「ゾロが剣客相手に戦わないのがもったいなさすぎる」「ゾロがメインじゃないの?」との声があがった。確かにゾロが作中で侍と剣を交えたのは狂死郎のみ。だが全体を通して見れば、おいはぎ橋の牛鬼丸とゾロが対峙する様子は、まるで五条橋での弁慶と牛若丸の出会いのシーンを思わせる。

  さらにおでんの名刀「閻魔」を手に入れたゾロと強敵である百獣海賊団・キングとの戦闘シーンや、世界一の大剣豪になると宣言したゾロがミホークとの戦いに敗れ「二度と敗けねェから!」とルフィに誓う回想や、ゾロの名刀をめぐるエピソードが盛り込まれるなど見応えもあったはず。ただ読者が期待したほど、「侍」と「ワノ国」の舞台とゾロの設定が活かしきれていないという見解が多かったようだ。

賛否両論の声が噴出したワノ国編

  不評ばかりかと言うとそんなことはない。おでんの過去編には「めちゃくちゃ好き」との意見もあがっている。白舞大名の霜月康イエは、おでんの家臣となるゴロツキたちに大金を渡し、身なりを整え礼儀を学び学問を身につけさせた。

  おでんを支える者達に「ワノ国の守り神となれ」と告げる康イエ。そしておでんをめぐるエピソードは大物達と繋がってゆく。おでんは白ひげやロジャーに好かれ海賊王の最後の旅に同行した男であり、ロジャーの伝説の冒険が明らかになったのだ。

  またカイドウ、そしてビッグ・マムとの戦いを黒ひげは「王の座をかけた強者共の潰し合い」だと言った。戦いは白熱し、カイドウにルフィがギア5に至ったことで勝利した。世界経済新聞社社長・モルガンズが「最悪の世代の中から海賊王が誕生する」と提言したように、物語は最終章に向けた重要な展開が多かったと言えるだろう。

  ゾロの活躍の他に不評の声があがったのは、ルフィ達の仲間になると思われたヤマトについて。ネット上では「麦わらの一味の10人目にヤマトがなると思ってたのにガッカリ」「最早意味がわからない」と疑問の声が多くあがっている。長大なエピソードとなったからこそ、賛否の声が相次いだのかもしれない。

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