【漫画】ファミコンRPG「ふっかつのじゅもん」がわからなくなって喧嘩に……昭和あるあるを描く漫画が懐かしい
――本作の反響はいかがでしょう?
仲曽良ハミ(以下、仲曽良):最近はすでに描いた漫画を毎日1本ずつ投稿していて、そのなかのひとつが本作です。読者さんからのリアクションもよくて、みんな似た思い出を持っているのだなと感じました。僕もちょうどファミコンが流行っていた時に小学生だったんですよ。
『ドラゴンクエスト』はセーブ機能がなかったので、「ふっかつのじゅもん」という再開するためのパスワードがありましたね。当時のゲームってドットが粗いので「ね」とか「わ」の区別ができず、正確に手書きで写し取るのが難しかった(笑)。賢い人はビデオに録画していたみたいですが。
――毎話、ご自身の昔の記憶から物語を作っていくのでしょうか。
仲曽良:そうですね。基本は僕が考えますが、周りの友人と思い出話をしているなかで浮かぶことも多いです。主人公のモデルは自分で、家庭も自分の家族をイメージして描いていますね。こういうテイストの作品を描き始めたのは最近で、ここ10年くらい。
若い頃は「カッコいい作品を」と思っていましたが、それも結局イマイチだなと。方向転換してライトに描き始めたら、思いのほか反響がよかったんです。TwitterやInstagramなどのSNSが流行りだした時期だったのも関係あるかもしれません。当時は編集部に持っていく以外の方法がなかったので活動の幅が広がりました。
――カラー漫画であることにも目を惹かれます。
仲曽良:せっかく紙ではなく印刷コストがかからないので、色を付けようという感じでした。当時ウェブ漫画はカラーの方が強い印象だったんです。特に最初に始めたNote上では多かった気がして。手間はかかりますけどね(笑)。
――80年代、つまり40年前はそこまで昔ではないですが、これだけ技術が発達した現代にとって何か大切なことを描いている気もしました。
仲曽良:特に大義名分がある訳ではありません。でも、あの年代は面白いと思うんですよ。新しいゲームやおもちゃが出てきて刺激的だった。すべての人が自分の育った時代に輝きを感じると思いますが、僕自身もそうで。だから「こんな時代があったよ」と他の世代に共有したかったんです。
自分が会社員だった頃、特に辞める40代の前半頃は仕事の流れが変わり、新しい考え方が出てきた時期でした。同時に思ったことを正直に言えない肩身の狭さや、若い世代の難しさを感じていたんです。「昔がよかった」ということでなく、「僕らの世代も逞しいぞ」と社会に辛さを抱く40代の方たちの背中を押せたら嬉しいですね。
豊かさだけがすべてではありませんから、「古いものは悪いことばかりじゃない」という想いも、本作のレトロな世界観に込めているつもりです。
――シリーズの今後など、展望があれば教えてください。
仲曽良:コミックスが続いていければいいなと思ってますね。最終的にはアニメ化できれば。いずれは『ちびまる子ちゃん』や『サザエさん』まではいかなくても、家で自然と流れているような番組にすることが目標です。