【漫画】ご飯にする? お風呂にする?ーー社会人女子ふたりの楽しい“密会”を描くコミックエッセイが魅力的
「自分が描いていて楽しい作品を作ってみよう」
――どのような経緯から『ご飯にする?お風呂にする?』制作は始まったのですか?
萌:数年前に『リサと人魚』という漫画を描き始め、Instagramで投稿したところ、運良く小学館の担当さんの目に留まってWeb連載デビューが決まりました。その後、『リサと人魚』の連載が終わり、次の連載に向けて新しいネーム作りに取り組んでいました。ただ、需要や流行りを意識しすぎて中々上手くいかず……。
――なかなか『リサと人魚』の次の作品が生まれなかったのですね。
萌:はい。そんな時、KADOKAWAの担当さんから声をかけてもらい、打ち合わせを進める中で、「読み手のことは一旦置いといて、自分の好きなものを詰め込んだ、自分が描いていて楽しい作品を作ってみよう!」という話になりました。その思いが形になったものがこの『ご飯にする?お風呂にする?』です。
――小夏と美冬というキャラはどのように練り上げましたか?
萌:話を考えていく中で自然と2人の性格が決まり、そこからビジュアルも考えていった感じです。ビジュアルより先に名前が決まったため、2人の名前に入っている季節のイメージもビジュアルを作る時の参考にしました。
――個人的にはインパクト十分な小百合が登場する6話が印象的でした。小百合というキャラはどのように作り上げましたか?
萌:「誰かに2人の密会がバレる話が描きたい!」と思い、話を進めていくうちに小百合が誕生しました。思考回路は完全に私です。さすがに日常生活で尾行はしませんが。ですので、「設定した」というよりは、「私の気持ちを代弁させた」というほうが近いです。また、ビジュアルは、“大人しめで物静かなごくごく普通の会社員”らしさを意識しました。6話を描くのはめちゃくちゃ楽しくて、ネームもいつもより早くできちゃいました!
「妄想はお茶の子さいさい」
――美冬と小夏のやり取りはとても微笑ましく、読んでいて落ち着く話ばかりです。本作の雰囲気、空気感はどのように意識して作っていますか?
萌:読者さんにも小夏や美冬と同じようにホッコリとした幸せな気持ちになってもらいたいので、なるべくネガティブな展開にならないように心がけています。また、どうしてもお風呂や銭湯が題材の漫画では裸体を強調した表現や、いわゆる “サービスショット” などはある意味定番です。ただ、『ご飯にする?お風呂にする?』ではそういった類いの表現や、過度な露出はなるべく避けるようにしています。
――付箋で予定を確認したり、くしゃみでセリフがかき消されたりなど、ニヤニヤポイントが散りばめられています。
萌:小さい時から“妄想少女”として生きてきたので、その手の妄想はお茶の子さいさいです!(笑)ただなぜか「さあやるぞ!」とやる気満々で机に向かっている時より、お風呂に入っている時や家事をしている時など、何気ない瞬間のほうが良いアイデアが浮かんでくることが多いです。
――ストーリーも魅力ですが、本作では食べ物がとても美味しそうに描かれていますね。
萌:「今回の話はこれを描こう!」と決まったら、実際にそのメニューを食べに行き、その時に撮った写真を参考にして描いています。また、食べ物を描く時はハイライト(1番白い所)を意識して描いています。光があることで美味しさがより伝わると思っています。
――最後に萌さん自身の目標などあれば教えてください!
萌:漫画はもちろん、絵本やイラストなど、様々な方法で自分の内側を表現できたらいいなと考えています。いつか展示などもしてみたいです! また、『ご飯にする?お風呂にする?』が6月29日に発売されます。ぜひ読んでみてください!