60代からの快適ライフに必要なことは? ポイントは「小さくて自由な暮らし」

快適な大人ライフに必要なこと

 自分らしく生きながら、素敵に年を重ねていくにはどうしたら良いだろう。そんな大人世代のライフスタイルを考える上で、ヒントがたくさん詰まっている本が発売された。『60代からの小さくて自由な暮らし』(主婦の友社)だ。

 本書で紹介されるのは、60・70代でライフスタイルを謳歌している女性たち。世間一般の「こうあるべき」という規範から自由な生き方を実践する彼女たちに、住まい、食事、健康、家計管理、おしゃれ、趣味など、さまざまな観点から暮らしのコツを聞いている。さらにはユーチューブ、ツイッター、インスタグラムなどのSNSの楽しみ方、老後の暮らしを支えるお金の知恵も徹底解説されている。

 たとえば、神奈川・葉山に暮らす伊藤千桃氏は自然の中でケータリングレストランを営む。周囲を海と森に囲まれた地で、目の前のことにコツコツと精を出す毎日を送っている。朝起きてご飯を簡単に済ませると、庭の草抜きや手入れを行う。そこでは約20種類のハーブや果物、野菜を育てていて、食事にはいつも旬の食材を取り入れているのだとか。そんな彼女によると、忙しくしんどくなってしまった時には、自然や空を眺めることが大事だそう。つい視野が狭くなってしまった時に、ゆったりと気持ちを落ち着かせることができるからだ。

 また、東京都在住でひとり暮らしのyama氏は、50代後半で勤め先から解雇されて不安が募る中、ふとVlog(動画ブログ)の制作を始めた。動画発信は視聴者からのコメントも届くなど思いのほか楽しく、次は何を撮ろうかと考えることが日々の糧となっていった。そして60才でYouTubeチャンネル「yama」を開設し、ひとり暮らしの日々のアイデアや気づきを発信することに。そんな彼女の心がけの一つは「興味のあることはやってみること」。当初、自分にクリエイティブなセンスはないと思っていたそうだが、いざ手を動かして動画を作ってみるとどんどん魅了されていった。チャレンジせずに諦めたらダメだと話す彼女は、今はプログラミングの勉強にも励んでいる。

 さらに本書では、ユーチューブ、ツイッター、インスタグラム、メルカリなどのツールの始め方と楽しみ方が、誰でもすぐにわかるようにやさしく解説されている。なんとなく苦手意識のある人であれば、まずは「あなたに向いているサービスはどれ? チェックリスト」がおすすめ。たとえば、SNSを始めてみたいけれど、何がいいかわからない人にはツイッターが、趣味やペットの写真をネットにアップすることに抵抗がない人にはインスタグラムが紹介されている。デジタルと上手くつきあうことで、生活にちょっとした楽しみを取り入れられるはず。

 大人ライフを考えるにあたって、孤独感や不安を感じる人は多いかもしれない。本書に登場する女性たちも、お金、健康、仕事などのそれぞれの悩みを抱えていた。しかし、そうしたネガティブな感情とも上手く付き合いながら、もしくはそれを乗り越えた上で、日々の生活の中で自分らしく生きる術を見つけ出し、そのかけがえのない時間を慈しんでいる。本書を読みながら「自分自身は何をしている時が一番生き生きしているだろう?」と考えるとわくわくしてくる。歳を取る楽しみがいくつも増えていく一冊だ。

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