【漫画】映画監督の父と娘の絆に感動 SNS漫画『父と娘とコマ撮りアニメ』が話題に

 ーー家族のことを、創作のことを考えつづける監督の姿が印象的な作品でした。創作のきっかけを教えてください。

西原梨花(以下、西原):編集さんと打ち合わせをするなかで“家族”を題材に作品をつくることとなり、登場人物や設定について考えるなかで編集さんからコマ撮りアニメをつくる話はどうかと提案いただきました。そこからコマ撮りアニメを通して父親と娘が交流し、距離を縮めていくお話として本作を創作しました。

ーー専門的な描写が多く、てっきり映像制作に関する経験から本作を創作したのかと想像してしまいました。

西原:もともと映画がすごく好きで、映画のメイキング映像をよく見ていました。その経験がコマ撮りアニメを題材とした本作をつくるうえで参考になっていたのかと思います。

ーー印象に残っているシーンを教えてください。

西原:物語の終盤、玲がボールド(カチンコ)を持ってきて「コレ!何ていうの⁉」と言うシーンが個人的に気に入っています。

 玲の父親は娘との関わりは映画のように現実ではありえないものだと感じていました。そのため玲の父親が娘と過ごす時間を玲がボールドを鳴らした後から描き、父親が映画のようだと思い描いていた光景が現実で起きていることを表現したいと考えていました。

ーー家族がテーマの本作において、娘と父親の関係を描くなかで意識したことは?

西原:私も玲の父親と同じで子どもと接することがあまり得意ではありません。でも子どもが喜ぶことだけをすることは違うと思ったり、子どもとの距離を縮めないことも違うと思ったりなど、私自身の考えがそのまま玲の父親に表れています。

 また私は親と仲が良いこともあって、玲の家族もいい関係を築いてほしいなという願いも込めて玲や父親を描きました。

ーー父親であり、映画監督である主人公を描くなかで意識したことは?

西原:当初は性格の異なるキャラクターで、だれに対しても厳しく、少し気難しい人として玲の父親を描いていました。ただ編集さんと話しているなかで監督をやっているからには他者と接することが上手で、ただ子どもと接することは苦手でといったキャラクターに固まってきました。

 普段はどんな人で、映画とどういう風に向き合っていてーー。じゃあ何で子どもは苦手なのかという風にキャラクターを掘り下げていき、そのなかで誠実さをちゃんと描きたいと思い、玲の父親をつくっていきました。

ーー漫画を描きはじめたきっかけを教えてください。

西原:幼いころから姉の描く絵や漫画をマネしながら、自分も絵や漫画を描いていました。そのため小さいころから漫画家になりたいと思っていました。

 高校3年生のときに漫画賞に作品を投稿し、そのあとも漫画を投稿し続け、編集さんと関わっていくなかで、大学3年生のときに雑誌で読み切り作品を掲載させていただきました。ちょうどそのころ就活について親と話していたのですが、就活をやめて漫画家で食べていくことを決めました。

ーー作中ではお父さんに対し玲ちゃんが「なんで「かんとく」してるの?」と尋ねるシーンがありました。西原さんはなぜ漫画家をしている、続けているのでしょうか。

西原:この人はどんな考えなのか、どんな感情なのかと掘り下げて作品を描くことがすごく好きで。こんな人だからこんなことしているんだろうなとか、こんな部屋に住んでいるんだろうなと考えながら絵を描き、キャラクターのことを読んだ人に感じてもらえることがすごくうれしくて。それが漫画を描く魅力なのかなと思います。

ーー今後の目標を教えてください。

西原:これまで商業誌で長く連載を続けることができなかったので、もう少し長く連載を続ける、たくさんの人に読んでもらえる漫画を描きたいです。現在は描くことのできるキャラクターや物語の幅を広げるために、専門的な題材を取り扱った作品を描こうと思っています。自分が興味のないこととか、自分の知らない世界のことをもっと調べ、いい作品が描けたらいいなと思っています。

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