ひろゆき、小学生に人気の理由は「大人の間違いを教える」から 初の児童書を読み解く

ひろゆき、子どもに人気の理由

 2ちゃんねるの開設者にして令和の論破王・ひろゆき(西村博之)が、初の児童書『よのなかの攻略法 学校編』(小学館)を12月7日に刊行した。小学生が抱える勉強や友達、恋、いじめなどの悩み相談150件以上をひろゆきが回答する、子ども向けの学習漫画だ。YouTubeとも連動しており、内容の一部が動画で公開されている。

【ひろゆきvs小学生】頭が良くなりたい!と言ってる時点で無理【救い無し?】

 ひろゆきは、ネット世代古株にとっては2ちゃんねるやニコニコ動画の創始者としてカルト的な人気を誇ったが、今なお10・20代の若い世代からも絶大な支持を集める。物議を醸す発言がSNS上で連日話題となるのは誰もが知るところで、YouTubeは160万人、Twitterは220万人ものフォロワーを集める、芸能人・政治家級の大型インフルエンサーだ。

 最近ではひろゆきが相手を論破する殺し文句「それってあなたの感想ですよね」が、2022年の小学生の流行語ランキングの1位にランクイン。いまの小学生のあいだでは、人が言い訳をしたときなどに、ひろゆきの口調の真似をしながらそう言い合うのがブームになっているというから驚きだ。

 なぜ、ひろゆきは若い世代に人気があるのか? この度発売された本書『よのなかの攻略法 学校編』を読むと、それがよくわかる。本書では、学習まんがとQAコーナーが収録され、激動の時代をたくましく生き抜く秘けつを子どもたちに明かしている。

 先般の小学生流行語ランキングの結果を受けて、ツイッターでは悲観的な声が多く見られた。本来は友達と仲良く過ごしているべき小学生が、相手を口先で言い負かす論破に快楽を覚えているのではないかというわけだ。

 しかし、本書を読むとそうとは簡単に言い切れないことがわかる。なぜか本書内では終始うさ耳姿で登場しているキュートなひろゆきが、巻末で最後に「大人が言うことは結構よく間違えている」というメッセージを発している。小学生が本当に心の底から論破したかったのは、ありきたりな言葉で偉そうな説教を繰り返す、先生や親だったのかもしれない。

 たとえば、普通の大人たちは誰もが「学校に行きなさい」と口を揃えるはず。しかしひろゆきは学校は人間関係を学べるので良いとはしながらも、「不登校=ダメ、不登校=不幸、ではな」く、無理に行くほどの場所ではないと主張する。学校に行かなくても幸せに暮らせていたり、成功している大人はたくさんいるとアドバイスするのだ。

 さらには、2ちゃんねる時代からの一貫したゆるいキャラクターも人気の理由のひとつだろう。つらいことがあったら逃げたらいい、というシンプルかつ救いのあるメッセージ。

 たとえば「いじめの攻略法」の章では、登場人物の小学生がペンケースを盗まれて悪戯をされてしまう。そこでひろゆきは「いじめは犯罪だ」とまず主張し、そんなときの解決策として、「筋トレをして体を鍛える」「お金を渡すとエスカレートしてしまうからダメ」など具体的で実践的な助言をしながら、やはり「いじめから逃げる」ことが大事だと力説している。

 本書には、SNSやメディアで流通するイメージとは一味違ったひろゆきの魅力が、ふんだんに詰まっている。児童書ながら、生きていてしんどいことがあるという大人であっても、じっくり読むことで学びと発見が多くあるだろう。

■書籍情報
『よのなかの攻略法 学校編 ~ミライの攻略法~』
ひろゆき 著
発売日:12月7日
価格:1,210円
出版社:小学館

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