【漫画】夏の終わり、幼なじみの少女と海を目指してーーコロナ禍の青春を描いた漫画が甘ずっぱい
ーー過ぎ去ってしまった夏の愛おしさを感じた作品でした。創作のきっかけを教えてください。
さかなかなすか(以下、さかな):私が子どもだったころにも閉塞感は存在していたかと思いますが、コロナ禍の日々を過ごす子どもたちには大きな閉塞感があるのかなと思って。そんなことを考えながら本作を描き上げました。
現在は長野県で暮らしていますが、本作に登場する子どもたちも含め海に面していない地域に住む人にとって海は憧れの存在なのだと感じています。そのため本作は終着点として海を目指す物語にしました。
ーー本作のタイトル『late summer call your name』に込めた思いを教えてください。
さかな:子どもたちって友だちのことをよくあだ名で呼び合いますよね。それってすごくいいなと思っていて、あだ名を呼ぶ声やその音は呼ばれた人にとってなじみの深いものになると感じています。そんな思いから本作のタイトルを考えました。
ちなみにタイトルページの駅は住んでいる近所にあるものであり、旅のスタート地点という印象があったため、タイトルと共に駅を背景として描きました。
ー-作中で「ようちゃん」と呼ぶ女の子の名前は明かされませんでした。
さかな:他の作品も含め登場人物の名前を描かないことが多いですね。名前が描かれない作品が好きということもあり、作品を読む際に感情移入がしやすくなるのかなと感じたりなど、自分のなかで名前を決めないことに価値を感じています。
ーー終盤にてふたりで浜辺を歩くシーンが心に残っています。
さかな:ここはすごく悩んだシーンでした。感動的な場面として描こうと考えたこともありましたが、特別な出来事よりもしょうもない会話といったものの方が思い出として残ることが多いと感じていて。そういったことを描こうと思いこのシーンを描きました。
ーー本作を描くなかで印象に残っていることを教えてください。
さかな:普段は女の子が多く登場する作品を描いているため、男の子のキャラクターを描くことに苦手意識を感じていました。ただ、いざ男の子を描いてみると、女の子とは違ったものになると感じましたね。
また電車でふたりが過ごすシーンは印象に残っていて、長い時間を電車で過ごす気だるさを自分なりに表現できたと思っています。
ーー電車のなかが逆光となるように描いた理由は?
さかな:作品のどこかで夏っぽさ、夏の影の濃さを描きたいと思っていたためですね。うまく表現できたかはわかりませんが。
ーー漫画を描きはじめたきっかけを教えてください。
さかな:子どものころから漫画ばかり読んでいて、中学生のころから漫画として作品を描きはじめました。当時の自分も漫画ってすごいなと思った瞬間があったのだと思います。
ーーSNSでは「旅」をテーマとした作品を多く投稿しているかと思います。
さかな:人が好きで、仕事をしながらも旅をしていたいと考えています。なにかに出会うこと、なにかに出会いハッと気づく瞬間を漫画として描きたいと思っていますね。
ーー今後の目標を教えてください。
さかな:これからも漫画を描き、漫画を通じて人とつながっていくことができたらと思っています。
SNSの普及など、漫画を投稿することで人とつながれる時代になったと感じています。実際にSNSで漫画を投稿したことを通じてずっと好きだった人に出会い、交流することができました。もし漫画を描いているならば、どんどん発表した方がいいなと感じています。どんどんつながっていくので。
世界が広がることに価値を感じるかは人それぞれですが、SNSや即売会で漫画を発表することで確実に世界は広がると思います。