あばれる君「冒険をしている時に月を見ちゃいけない」 サバイバル生活で気付いた未知の感情とは?

あばれる君、サバイバルへの目覚め

30歳を超えて自然に癒やされてると気づいた

――昨今はソロキャンプや山登りなど、サバイバル知識が役立つ趣味も一般的になってきていますが、その流行をどう思われますか?

あばれる君:僕も大好きです。でも、僕はこれまで流行り廃りで物事を見たことがないんですよ。これだけ流行る前から僕はやっていましたし、これからも多分ずっとやっていくんじゃないですかね。育った場所も福島県の山に囲まれている所だったので、ずっと付き合っていくものだと思っています。

――生まれた時から自然と一緒にいた。

あばれる君:福島にいる時は都会に出たいと思って上京しましたが、ある程度の期間東京で暮らしていると山に帰った時の安堵感に驚くんです。30歳を超えて自然に癒やされてると気づいて以来、田舎に帰りたくなることが増えました。

――現在、お仕事以外で山に行くことはあるんですか?

あばれる君:仕事に入っちゃうかもしれないですけど、YouTubeで山に行っています。自分で料理したり、火を起こしたり、物を運んでセッティングしたりして空間を作るということを楽しんでます。自分の自慢のキャンプ用品を配置して、カメラの画角を決めて、料理をするとハマるんですよね。

――普段から自然と接しているあばれる君さんだからこそわかる、役に立つ技術を教えていただきたいです。

あばれる君:場面によるところはありますが、基本的なことであればやっぱりナイフの使い方ですね。例えばこうやってナイフを使うのは間違いなんですが、なんでかわかりますか?(座っている足の間でナイフを使って木を削る素振りをする)」

――……わからないです!

あばれる君:足の間でナイフを削ると、誤って足を切ってしまう可能性がありますよね。しかも太ももには大きな血管がありますから、とても危ない。だから両足を閉じた外側でナイフを使わなければならないんです。あとは、ファイヤースターターの使い方も役立つと思います。火打ち石でチッってやった時に出る流れ星みたいな1個の火花でも、火口さえあれば火が起こせるんです。ちょっとお笑い芸人にも似てますよね。小さな種火か大きくなっていくところとか。ただ逆に言えば、ほんの小さな火の粉でも山火事になってしまったりと、危なさをはらんでいます。でも火はとても大切ですから、キャンプを楽しむためにも火についての知識はあったほうがいいと思います。3つ目は竹ですね。竹さえあれば何でもできるんです。僕は本の中で飯盒を作りましたが、椅子、かご、はしご、フォーク……、何でも作れますから。きれいに割れるので、意外と簡単ですし。他にもおたまやコップ、スピーカーも作れますよ。ろうそく立てなんかは、皮を剥いでおくと夜になった時にうっすら火が透けてすごく幻想的なんです。

――家族でキャンプに行った時も簡単に作れてすぐ楽しめそうですね。

あばれる君:そうなんですよ。ナイフさえあれば簡単にできます。そういうことも、この本で伝わったらいいなと思っています。野外に遊びに行った時に、パパが子どもたちに「おぉ」と思わせられるテクニックも載っていますし。

――大人も必見ですね。いろんな楽しみがあるようですが、あばれる君さんが経験したことで一番感動したことなんですか?

あばれる君:パラオの無人島に行った時、海岸で寝たんですけど星がものすごくキレイなんですよ。その星空を見ていると「自分は今、日本じゃない遠いところにいるんだな」と思えてきて、胸がギューッと締め付けられたんです。言葉で表しづらいんですが、孤独感を感じるとともに、生き抜いて絶対に帰るぞという強い気持ちが湧いてきたことに感動しました。自分の人生の中でこんな気持ちが味わえる瞬間があるんだって。それで、その時に月を見たんですが、家族の顔が浮かんできてなんとも言えない寂しさを味わったんです。後から冒険小説を読んだら、サバイバルというか冒険をしている時に月を見ちゃいけないんですって。

――なんでですか?

あばれる君:帰れないと思って寂しくなっちゃうんですって。精神的にダメージがあるらしいので、なるべく見ないほうがいいという教えがあります。そういったものを身をもって体験できたことも感動しました。他にも見たことがない景色を見られるのも貴重です。パラオで水平線に沈む夕日に向かってイカダを漕いでいるところを写真に撮ってもらったんですが、それがディズニー映画の世界みたいで。そういった風景も感動しますよね。

――著書の中で顔を蚊に刺されてしまったエピソードが書かれていましたが、感動が大きい分、ピンチもたくさんありそうです。

あばれる君:そうですね、蛇やオオトカゲがたくさんいる島は大変でした。オオトカゲを捕まえて食べたんですけど、オオトカゲは腐ったものしか食べないのでトイレの味がするんですよ。タンパク質だと思って無理やり摂取しましたが、噛んでいると泡が出てきて檳榔(噛みタバコ)をやっているおじさんみたいな状態になっていました。

――それはすごい体験ですね……! では最後に、この著書を読んでキャンプなどにチャレンジして見ようという方にアドバイスをお願いします。

あばれる君:火を囲んで食事をするのは本当に楽しいので、まずはそこを思いっきり感じてもらうといいと思います。それが一番の醍醐味なんじゃないでしょうか。簡単なメニューでいいので、料理を作ることを楽しんでみてください。じゃがいもを蒸してバターを落とすだけみたいなシンプルな料理が、本当に美味しくなりますよ。日本人の主食であるお米も、炊飯器じゃなくてぜひ鍋で炊いてみてほしい! ちなみに僕のオススメはコンビーフにマヨネーズをかけたやつ。火すら使わないんですけどね(笑)。キャンプ飯、ぜひ味わってみてください!

■書籍情報
『ぜっ たいに生き残れ! あばれる君のすぐに使えるサバイバル大全』
発売日:2022年8月10日
定価:1650円(税込)
判型:A4判 112ページ
出版社:講談社
詳細はこちら:https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000368927

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