一見上手な“猫の少女”の漫画、プロの添削でなぜ劇的変化? “コマ数を絞る”ことの重要性
元週刊少年漫画誌の連載作家・ペガサスハイド氏が自身のYouTubeチャンネルで「日常ファンタジーをわかりやすく描く方法」を伝授。そのテクニックに視聴者からは「すごい格段に修正後のほうが読みやすい!」といった驚きの声が寄せられている。
普段は、視聴者から寄せられた一見上手な漫画やイラストをプロの目線で細かく添削しているペガサスハイド氏。解説のわかりやすさとともに、あくまで本人の長所を生かすアドバイスが心地よく、自分では絵を描かない人も楽しく視聴できる。チャンネル登録者数は15万人を超える。
6月11日にアップされた「【漫画添削51】日常ファンタジーをわかりやすく描く方法 ~プロ漫画家が教えます~」と題した動画では、投石兵さんから寄せられたファンタジー漫画を添削することに。主人公の男の子が捨て猫のためにスーパーで猫缶を買ってきたところ、段ボールの中には猫はおらず、途方に暮れているところに、猫の化身と思われる女の子が現れるといった内容だ。
まず投石兵さんの作品は、絵からすんなり物語が伝わってくる。ペガサスハイド氏は「正直に言って画力はまだまだだと思います。けれど、漫画の面白さって、画力が全てではなくて、読んでいる人にいかに物語を伝えられるかどうかということなので、今回この作品を僕の添削動画として採用させてもらいました」と伝えていた。
その上で始まった添削作業。まずペガサスハイド氏は投石兵さんの1Pあたりに割くコマ数の多さを指摘。「1Pに10コマは詰め込み過ぎかな(笑)。どうしても詰め込むと絵が小さくなってしまうので、漫画を描く方も描きにくいし、読者も読むのがしんどくなってしまいます」と伝えていた。
添削し終えた作品は、6コマまで削ぎ落とし、より簡潔にストーリーを読者に伝える工夫を施していた。確かに、週刊誌や月刊誌サイズならばコマが細かくても読むことはできるが、単行本サイズになると、そこから縮小される。そうなった場合、かなり読みにくい作品になってしまうだろう。
ほかにも様々な“読者に状況・心情をわかりやすく伝えるテクニック”を語っていたペガサスハイド氏。詳しくは動画を確認して欲しいが、漫画家を目指している人は必見といえる動画ではないだろうか。作品を手掛けた投石兵さんも「今回はペガサスハイド先生に添削していただき、1Pでもここまで整理して読みやすく面白くできるのだと勉強になりました」とコメントしている。
プロならではのテクニックであることはもちろん、これは漫画以外の創作にも通じる“気遣い”の成果にも思える。ぜひ動画をチェックしてみよう。