【漫画】もしも世界が7つの層になっていたら……少年が“上の世界”を目指す漫画『登る人』が話題

ーースビルくんが歩む物語の続きが気になる作品でした。創作のきっかけを教えてください。

ネオショコ:現実で「あの人は住む世界が違う」と言うことがありますが、その言葉が可視化されて世界が縦に分かれていたらというネタを思いつき、いずれ作品にしたいと思ってプロットを描いていました。今年の3月上旬に連載作品の最終話を描き上げたのですが、この話を作品にするのは今しかないと思い、3月下旬に本作を描き上げました。

 またTV番組『ハイパーハードボイルドグルメリポート』(テレビ東京系)をよく見ていて、多くの人が命を落としてしまう鉱山で働く人々を取り上げた回がありました。縦に分かれた世界と鉱山で働くこと。このふたつがつながり、鉱山で働く少年が縦の世界で生きる物語を描こうと思いました。

ーースビルくんとサビオくんは対照的に描かれていたかと思います。

ネオショコ:スビルは未来を選択する自由がありませんでしたが、スビルの犠牲のもとに弟のサビオは教育を受けることができました。彼らの境遇は自分自身の体験に基づいているかもしれません。

ーー印象に残っているシーンを教えてください。

ネオショコ:私はつくる側であり、印象に残っているものはないのです。ただスビルがはじめて「登りたい」という気持ちを吐露するシーンはものすごく気にかけて描きました。スビルがはじめて自分の気持ちを肯定できたうれしさと、家族に負担をかけてしまうかもしれないという申し訳なさが入り混じる表情にしたくて。

 またサビオが「職に就いたら母さんの面倒もみれる」と言うシーンは台詞を変えようか最後まで悩みました。親が子どもの世話になることが決定されていることが少し嫌だったのですが、第7層の世界やスビルの家族にとってはそのことが普通であると考えていたのでそのままにしました。

ーーTwitterには本作の続きが気になるといった声も見られました。

ネオショコ:物語の構想はあるのですが、続きは描かないと思います。ただ心残りはあって、本作がほとんどはじめて描いた読み切り作品なのですが、物語を“引き”で終わらせてしまったんです。続きを読みたいという声もありがたく感じたのですが、読み切り作品として頂く意見としては適さないかと思い自分の実力不足を感じました。

ーー創作活動をはじめたきっかけを教えてください。

ネオショコ:物心がついたころからクレヨンで壁に絵を描くような子どもで、小学生のころから様々な漫画を描いた紙をまとめ、漫画雑誌をつくるといった遊びをしていました。ただ親が借金取りに追われるようになってから家がなくなり、学校に通えず祖父母の家でひとり過ごしていた時期があったのです。

 周りの友だちは学校へ行き勉強しているのに、自分はなにかに追われている恐怖を感じている。そのなかで自分を保つために絵を描いていました。

ーー絵を描くことを仕事にした経緯は?

ネオショコ:ほかにも就ける職業はあったかもしれませんが、自分の人生のなかでできることとやりたいことの交差点は絵を描くことだったんですね。私はこれしかないと思い絵を仕事にしようと思いました。

 学生のころにボーカロイド楽曲で巡音ルカの絵をジャケットとして使ってもらったことでお金を頂き「絵で食べられるんだ」という経験ができました。そのあとコミカライズのオファーが来て、その報酬を資金として絵の勉強をするためニューヨークで絵の勉強をしました。

ーーネオショコさんはまるで本作の世界観のように、様々な世界を見てきたのだと感じます。

ネオショコ:色んな経験をしてきたことが創作のアイデアに繋っていると感じる時もあります。

ーー今後の活動について教えてください。

ネオショコ:直近の目標は読み切りを描けるようになりたいですね。本作のような連載漫画の1話目しか描けないと思っているので。

 プロアマ問わず漫画や発信媒体が増え、そのためか読者さんの感性や受け皿が広くなっていると感じているんです。私自身すごく助かっているのですが、甘んじてはいけないと思っていて。ちゃんと面白い漫画を出せるように努力をしていきたいと思います。過去の自分が救われたように、誰かの助けになる漫画を描くことが目標です。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる