清野菜名「全部お見通しなんだなぁ」 倉本聰に言われた言葉にドキドキしている理由
女優としての未来に繋がる写真集
――後半の対談では、北海道の富良野にある倉本聰さんのアトリエまで足を運ばれていましたが、対面でお会いするのは久々だったのでは?
清野:直接お話しさせていただくのは、約2年ぶりでした。たまに電話で近況報告をすることはありますが、今回、元気そうな姿が見られて安心しました。
――清野さんにとって倉本さんは、仕事観を変えてくれたかけがえのない存在なんですよね。
清野:はい。「やすらぎ」シリーズを機にお芝居の楽しさを教えてくださったり、いろんな面で支えてくださったり、恩師と呼ぶには十分すぎるくらい、いつも私のことを気にかけてくださっている方なんです。
本作での対談後、また改めて倉本さんからお電話をいただいたんですよ。「ああいう場だったから言い出しにくかっただろうけど、本当に大丈夫か?」と。お会いしたときの私の感じから、何か察することがあったみたいで。あぁ、倉本さんには全部お見通しなんだなぁと、改めて感謝の気持ちでいっぱいになりましたね。大切な写真集のなかで、倉本さんとの対談が実現するなんて……。本当に幸せな瞬間でした。
――アトリエで”履歴書”を見させてもらっていたじゃないですか。倉本さんが脚本を書くときに使う巻物で、登場人物の生年月日に尺をあわせて、何歳の頃に何が起こったか、どんな音楽が流行っていたかなどが、ひと目で判断できるという。
清野:初めて倉本さんにお会いしたとき、その”履歴書”の存在について聞いてはいましたが、実際に見させていただいて、より凄さを実感しました。倉本さんの脚本のなかではこんな風に役が生きているんだと思うと、自然と身が引き締まりましたね。
――それは、脚本に書かれていない時代も含めて、役の人生は存在している、ということでしょうか?
清野:そうですね。倉本さんが仰っていたのは、例えば、朝出勤したOLさんがオフィスでお茶を配るシーンがあるとするじゃないですか。脚本に書かれているのはそれだけだったとしても、もしかしたら誰かと喧嘩したまま出勤して、笑顔を作りながらも内心イライラした状態でお茶を配っているかもしれないし、逆に嬉しいことがあって、ルンルン気分でお茶を配っているかもしれない。脚本には、そんな裏側のことまで書かれていないけど、裏側まで考えられるかどうかで役の人間味にも変化が出てくるわけで。そこは、私たち演者が自由に楽しめる部分でもあるんですよね。お芝居の楽しさはココにあるのか、と衝撃を受けました。いろんな役作りの方法があると思うけど、倉本さんが教えてくれたこのアプローチ方法は、自分のなかでも凄く腑に落ちましたね。
――なるほど。”履歴書”はその考え方を具現化したものでもあるんですね。素人目から見ても興味深いお話ばかりで、とても読み応えのある対談でした。
清野:倉本さんとお話ししていると、学びたくなることがたくさんあるんですよね。何時間でも、ずーっと話を聞いていられる気がします(笑)。
――「30歳を過ぎてから女優は変わる」といったお話もありました。
清野:若いうちは自分だけの力じゃなく、親からもらった容姿や体、若さそのものも含めて魅力となっているけど、30歳以降は演技力や表現力など、自分が培ってきた力をメインに頑張っていかなきゃならない。だから、本当の勝負はここからだよって。そう言われて、ドキドキしました。今は、30歳が近づきつつある緊張感と楽しみな気持ちが同時に混在している感じです。
――本作は、26歳の清野さんの等身大を写した写真集ではありますが、故郷・稲沢で思い出に浸る瞬間が収められていたり、倉本さんとの対談からこの先の未来を感じたりと、いろんな時間と繋がっている作品でもありますね。
清野:そうですね。2年後、3年後、もしくは10年後に本作を見返したとき、26歳の自分がどう写るのか気になります。尾身さんに撮っていただいた写真を見て「今、この頃と同じマインドで笑えているだろうか?」と、倉本さんとの対談を読んで「そういえば、こんな話をしたなぁ」と。きっと、今とは違った感じ方をするはずですからね。今後、もし何か大きな壁にぶつかって悩むことがあったとしても、本作を見返せば、今の26歳の感覚に戻ることができる。そう思うと、私にとっては思い出のアルバムのような一冊でもありますね。
――先ほどタイトル「セイノート」に深い意味はないと話されていましたが、いろいろお話を聞かせていただくなかで、26歳の清野さんにしかない素直な表情や感性を記録した”清野さんの特別なノート”と解釈できるような気もしてきました。
清野:そう感じていただけて嬉しいです。タイトルの意味は、後付けでそういうことにしておこうかな(笑)。
――ぜひ(笑)。では最後に、清野さんが思い描く未来について聞かせてもらえますか?
清野:女優として目指している場所は、昔から変わらず、ハリウッドのアクション映画に出演することです。勉強して、少しずつ英語が喋れるようになってきたので、ゆくゆくは海外のオーディションに挑戦して、ハリウッドで活躍している俳優さんたちと一緒に映画を作っていきたいですね。それから、私は『バイオハザード』のミラ・ジョヴォヴィッチに憧れてアクションをはじめたので、いつかミラ・ジョヴォヴィッチとも共演してみたい!これが、私の思い描く未来です。
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<応募締切>
2021年10月31日(日)23:59まで
衣裳クレジット
ベスト:77 circa/ワンピース:Ray BEAMS/ブーツ:REMME/ネックレス:Ray BEAMS/右手リング:Alta Ora/左手リング:Ray BEAMS
▼衣装問い合わせ先
レイ ビームス 新宿 03-5368-2191