『ハイキュー!!』菅原孝支は“烏野の母”だ コートの外からチームを支える副キャプテンの存在感

『ハイキュー!!』菅原孝支は烏野の“母”

烏野高校のムードメーカーとしての存在

7巻では東峰と澤村と3人「3年生」が表紙を飾った

 東峰がチームに復帰して以降の、菅原はどこか吹っ切れたように見える。それとも、影山が正セッターとなり、自分がやるべきことが決まったのか。

 それまでどおりのサポートはもちろん、檄を飛ばし、みんなのテンションを上げ、選手たちをリラックスさせる。ときには飛ばす檄が強すぎて、澤村を「お、落ち着け」とうろたえさせ、主審ににらまれるということもあった。

 すべては、できるだけたくさん試合をしていたかったからこそだ。コートの外にいるからこそ、見えてくるものも、感じることもある。もどかしさを感じたこともあっただろう。でも決して弱音を吐かず、後輩たちを育て続けた。もしかしたら本人はそんなつもりがないのかもしれないが、自然とその役割をこなしていたように見える。

 最たる例が影山だ。影山が春高敗退時に「このチームでもっと上に行きたかったです」と言った際、菅原は涙をこぼしこう答えた。

「お前からそれを聞けただけでここに来た意味がある」

 影山と日向が入学してきたときから、全部見てきた菅原だ。影山の苦しみは、同じセッターだからこそ言わなくても伝わっていた。そんな後輩の成長を見せつけられたら、菅原は泣くに決まっている。

 ちなみに菅原は影山と日向のVリーグ対戦時にも、影山が子どもと手を繋いでいるのを見て「影山とキッズ……」と泣いている。澤村には「スガは親なの?」とツッコまれているが、そんな澤村に唯一ビシッと厳しいことを言えるのも菅原だけだった。菅原は「烏野の母」だったのではないだろうか。

 そんな菅原は小学校の先生になったことが第43巻で明らかになった。菅原ならきっと教室にいる生徒全員を見つめてまるっと愛してくれるだろうし、一緒になってはしゃいでくれるだろう。想像するだけで微笑ましい。

 これは筆者の願望だが、できれば、ときどき大人げなく子どもたちとバレーをしていてほしい。

(文=ふくだりょうこ(@pukuryo))

■書籍情報
『ハイキュー!!』(ジャンプ・コミックス)既刊43巻
著者:古舘春一
出版社:株式会社 集英社
https://www.shonenjump.com/j/rensai/haikyu.html

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