不気味な“カメ人間”の絵が目を引く奇書『カメの甲羅はあばら骨』の有効な使い道とは?

不気味な“カメ人間”の絵が目を引く奇書『カメの甲羅はあばら骨』の有効な使い道とは?

 『カメの甲羅はあばら骨』は、まるで『進撃の巨人』に登場する巨人のような不気味な表紙の本である。サブタイトルにある「人体で表す動物図鑑」という名前のとおり、動物のからだを人間のからだに置き換えて描くとこんなかたちになる、と示した本だ。立ち読みページがあるのでざっとめくってもらえると、どんなものかよりわかる。

https://r.binb.jp/epm/e1_128202_27112019184656/

 著者の川崎悟司は古生物研究家。なんと文章だけでなくイラストも自身で手がけている。たしかな知識のある書き手が絵も描いたことでリアリティが増している……こともあるが、異様な体型のキリン人間やフラミンゴ人間の造形と独特の無表情ぶりとがあいまってなんともジワる。

マンガ家、キャラクターデザイナー、イラストレーター、ラノベ作家必携

 といってもふざけた本ではなく、中身はおおまじめ。『ざんねんないきもの事典』や小学館neo、講談社MOVEなどの動物図鑑とは異なり、これは児童書ではない。

 古生物研究家が書いただけあって、現在のカメ、カエル、トカゲ等々の生きものがかつてどんな姿をした生きもので、そこからどのように身体を進化させて今のかたちに至ったのかを解説した、コンパクトながら専門的な内容の一冊だ。

 生きものに興味がある人であれば誰でも楽しめるものだが、特におすすめしたいのはマンガ家やマンガ原作者、キャラクターやロボットなどのデザインに関する仕事をしている人、あるいはライトノベルなどのエンターテインメント小説の書き手である。

 『BEASTERS』や『テラフォーマーズ』など、動物を擬人化したり、各種生物の能力を宿した人間を描いたフィクションは数知れない。そういうものを描きたいと思ったときに、間違いなくこの本は役に立つ。

 たとえば、一見すると首がほとんどないように見えるフクロウが、実は人間の倍もある14個の頸椎(首の骨)を持っており、なんと270度も首を回すことができる、といったことが、フクロウの絵と人間に置き換えたときの絵をセットで一覧できる。これだけでフクロウ男的なキャラのアイデアが思い浮かぶクリエイターもいるはずだ。

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 また、各生物ごとの特徴だけでなく、巻末には部位別比較が掲載されている。ヒトとモグラと水生哺乳類と鳥とコウモリで手・前足はどう違うのか? ヒトとクマとイヌとカンガルーとフラミンゴでは足・後ろ足はどう違うのか? 肉食と雑食と草食と丸呑みと鳥でアゴや歯のかたちはどう違うのか? こういったことが、人間の身体に置き換えたかたちでパッと見て比べられる。これはいろいろな能力を設定するとき、あるいは動物の要素を加味したヒト型のキャラクターの造形をデザインするときにめちゃくちゃ使えるだろう。

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